米国株が大幅高となり、日本市場も買い先行となったのですが、週末の手仕舞い売りや持高調整の売りも多く軟調となりました。先物・オプションのSQ(特別清算指数)は特に材料視されることもなく、無事に通過となりましたが、外国人が引き続き大幅に売り越し基調と伝えられてリスク回避の持高調整の売りとみられるものが主力銘柄にでているのだと思われます。円高を嫌気して売られたというコメントもみられましたが、円高を嫌気したというよりも、日本の主力銘柄を手放すような動きが出ているのだと思います。
3月、6月、9月、12月というところでファンドなどの決算も多く、そのファンドの解約を通知しなければならない期日である「45日ルール」で8月に売られているのだと思います。そうした周期に信用取引の期日の周期が符合、そして四半期決算の発表も絡んで2月から3月にかけてとか、5月、8月、11月などに波乱となることが多いのではないかと思います。金価格は上昇が続いているものだからリスク回避先として逆に値上がりリスクの回避先として取り込まざるを得ず、金の価格は上昇していますが、その他の非鉄金属は軒並み軟調となっているところをみても、手仕舞い、持高調整の売りが出ているとみてもいいのだと思います。
リスク回避の動きといっても、もちろん「持たざるリスク」というもののあるわけで、現状の世界の流れをみていると上がるものは皆が買う、買わざるを得ないので大きく上がり、下がるもの下がることによってますますリスクが高まり売らざるを得ず、売りが嵩むことでさらにリスクが増えるということなのだと思います。そしていったん、その方向性が決まるとその流れに向かうという動きは少なく、その流れに乗ろうという向きが多く、大きな流れになるということでしょう。そして何かをきっかけに一瞬にしてその流れが変わると、混乱となり、その混乱を経てそれまでの流れが続くことになるのか、あるいは反対に流れることになるのだと思います。
8月の中旬、今週・来週あたりが持高調整の売りのピークとなる可能性も高く、今は円高で売り易いこともあり、外国人の売りに注目しておくといいのでしょう。TOPIXコア30が売られているというのも最後まで抱えていたものまで売りに出しているということで、売り一巡となれば、業績や個別の材料で売られているわけではないので、自然と反発となって来るのだと思います。あくまでも目先の需給要因での売りであり、売りにも限度があるということを頭に入れておいた方が良いと思います。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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