ロスジェネ世代の問題が、ないがしろにされている城繁幸×赤木智弘「低年収時代よ、こんにちは」(4)(3/4 ページ)

» 2011年08月12日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

城:ただ東北地方がどこまで復興できるのか、現時点ではなかなか読めません。津波の被害を受けた地域で、いますぐに仕事を見つけるのは難しいでしょうね。

赤木:地元でずっと生活をしていて、そこでコミュニティをつくってしまえば、簡単に引っ越すことはできません。お金と違って形のないものなので、なかなか動かせないんです。逆に言えば動ける人はコミュニティがそれほど必要でなかったり、なんらかの要因があるのでしょうね。

仕事に対する価値観

城:いずれ仕事に対する価値観が変わるのではないでしょうか。「どの会社で働いているか」ではなくて、「どういう仕事をしていて、どのくらい満足しているのか」といったことに重きを置いてくる人が増えてくるように感じています。「どの会社で働いているか」と「どういう仕事をして、どのくらい満足しているのか」――この2つの点で折り合いをつけることができれば、個人は満足できるようになるでしょうね。

 しかし、日本人はまだまだ「どの会社で働いているのか」を重視している。それは本人だけでなく、家族や周囲の人間もそう感じている。

赤木:世間では「寄らば大樹の陰」といった感覚があって、「大企業は潰れない」といった神話が残っている。企業が失態を見せても、政府はどんどん支援する。そうなると、やはり名の知れた大企業に対する憧れは強く残ります。大学生の就職活動を見ていても、「やはり公務員がいい」「自分は大企業を希望する」といった人が多い。

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