一時大幅安となるも機械受注が予想を上回ったことなどから底堅い清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年08月11日 16時11分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅下落となったことから日本市場も売り先行、大幅下落の始まりとなりました。引き続き外国人も大きく売り越しと伝えられ、為替もいったん円安に振れたもののすぐに介入期待がはげると円高に戻り、下値を試すような動きとなりました。ただ、寄り付き前に発表された機械受注が予想を上回ったことや好調な決算を発表する銘柄も多いことなどから落ち着いてみると売り急ぐ動きもなく、日銀のETF(上場投資信託)買いが期待されるなかで徐々に売り難く、戻り歩調となりました。

 米国株式市場が乱高下となって落ち着きがみられません。今度はイタリア、スペインでもベルギーでもなく、フランスの格下げが取りざたされているようです。朝方はキプロスの格下げのニュースが流れましたが格下げ合戦というような勢いで、格下げがみられることでますますリスクを取れる資金が収縮し、リスクが取れなくなることで、ますますリスクが高まり、リスクが取れなくなるということなのだと思います。いつも何度もいわれていることですが、サブプライムローンの時と全く同じことが起こっているのだと思います。

 そうしたリスクを取れなくなった資金が吸い上げられて世界的な資金ショートを起こしたのがリーマンショックということなのだと思いますが、決して資金がないということではなく、資金が回っていないというだけなのだと思います。資金が回っているうちは何でもかんでもうまくいくのですが、いったん回転が止まると一気に逆に回転してしまうことなのでしょう。この回転をようやく止めて、もう手を離してもきちんと回り続けそうだということで米QE2(量的緩和)が終了、きちんと回ると思っていたのが、やはり手を添えて回して上げないとだめだということを確認しているのだと思います。

 ここは、実際に手を添えなくても、逆に回りそうならすぐに手を出して上げるからということを示すだけでいいのではないかと思います。後は政府が手を出さなくても好調な決算を示しながら、新興国の経済が拡大しながら資金が回転していくのではないかと思います。ただ、不安に思っている人が多いだけに、逆回転に勢いを付けるように格下げをするのではなく、しっかりと手を出せるように見守るということが必要なのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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