欧州財政不安の拡大懸念から金融不安が高まって大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年08月11日 08時48分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9038.74△94.26

<TOPIX>776.73△6.34

<NYダウ>10719.94▼519.83

<NASDAQ>2381.05▼101.47

<NY為替>76.87▼0.08

欧州財政不安の拡大懸念から金融不安が高まって大幅下落

 今度はフランスの格下げが取り沙汰されたことや仏銀の巨額損失の問題が取り沙汰されて金融不安が強まり大幅下落となりました。ただ、何かと理由をつけてはリスクを回避する動きとなっており、欧州でも米国でも株価が下がることで売る理由を探しているような面もありそうです。リスク許容度が低下していることで、一斉にリスクの縮小に向かっているということなのだと思います。ただ、原油価格が反発したことや金の上昇の割りに米ドルも底堅い動きとなっており、動きに変化もでているのかもしれません。

 これだけ乱高下すると、業績云々というよりもセンチメントの問題だけということになりそうです。ただ、個々の業績動向は今のところ堅調なものも多く、株や商品相場の下落が実体経済に影響を与えるようになると、今回の調整も長引きそうです。株価の乱高下だけで収まれば、単にリスクの再編ということで、短期的な調整になり、景気拡大に連れて再度堅調な展開になってくるのだと思います。実体経済への影響は過度な悲観から生まれる可能性も高く、ここで金融・政府当局に対策がみられるのかどうかも注目でしょう。

 個別には大幅増益決算を発表したにもかかわらずメーシーズは軟調、ポロ・ラルフローレンは好調な決算を発表して大幅高となりました。キャピタル・ワンはHSBCの米国カード部門を買収すると発表し好感して買われました。インテルやIBMは大幅安、アップルも軟調とハイテク銘柄は景気鈍化懸念から軒並み軟調、金融不安が強まったことで、シティグループ、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェースなど金融株が大幅下落、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、アルコア、フォード・モーターなど景気敏感株が大幅安、ウォルマートやホーム・デポなど消費関連銘柄も大幅安で、原油先物価格は反発となったのですが、エクソン・モービルやシェブロンも大幅安となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高を受けて買い先行となり、一時大幅高となるなど堅調となりました。ただ、為替が円高に振れたことや外国人が大幅売り越しと伝えられたこともあり、上値の重さを確認すると手仕舞い売りも嵩んで指数も上げ幅縮小となりました。さすがに売り急ぐようなこともなかったのですが、為替の介入期待もあったのですが、結局円高に振れても介入が入らず失望売りもあったものと思います。

 本日の日本市場は米国市場が再度下値を試す展開となったことから売り先行となりそうです。昨日の戻りの鈍さである程度予測されており、底堅さもみられるのでしょうが、円高がさらに進むようであれば一昨日の安値を窺うような展開になるのでしょう。為替介入が期待されるところで、介入があれば底堅さもみられ、堅調となってもいいのでしょうが早い時間帯に介入がみられないと手詰まり感から売り急ぐ場面も出てくるかもしれません。好業績銘柄の底堅さを期待する買いがみられるのかどうかが注目されます。

 相変わらず不安定な相場が続いていますが、本日は一昨日の安値(8650円)水準である8600円まで突っ込むことはないと思います。8800円〜900円と言う節目での底堅さを試すことになるのではないかと思います。目先的な戻りの目処は9200円〜300円、あるいは9500円〜600円といったところで、下値は8800円〜900円程度になるのか、もう一段の下落があって8500円〜600円程度まで下落となるのかということになりそうです。

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