コラム
» 2011年08月11日 08時00分 UPDATE

相場英雄の時事日想:日本のメディアも他人事ではない。廃刊に追い込まれた盗聴問題 (1/3)

英国の大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」が廃刊に追い込まれた。同紙による組織的な盗聴により、廃刊という結末になったわけだが、こうしたケースはまれなのだろうか。答えは「否」と言わざるを得ない。

[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『株価操縦』(ダイヤモンド社)、『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 当コラムでは、数回に渡って“オフレコ”について触れてきた(関連記事)。オフレコの約束を破った破らないといった行為の意味を、筆者の経験を交えて読者にお伝えしてきた次第だ。今回は、オフレコといった概念を大きく越える「盗聴」、記者の違法行為について考えてみたい。先に英紙が盗聴スキャンダルで廃刊に追い込まれたばかりだが、日本にも同じような問題はあるのだ。

違法行為で廃刊

 先に廃刊に追い込まれたのは、メディア王ルパート・マードック氏の支配下にあった英大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」だ。同紙は、同国の政治家や要人のみならず、一般人も対象に卑劣な盗聴を実施。組織的な関与が他紙の取材によって明らかになり、同国世論の厳しい批判を浴びた。

 廃刊に追い込まれたのはニューズ紙だけでなく、マードック氏が支配する他のメディアにも疑惑の目が向けられたのは記憶に新しい。

 改めて指摘するまでもなく、取材する記者は、取材される側の政治家や民間企業との間である種の約束をしている。正当な手段で取材し、その成果が読者や視聴者に届けられねばならない。個人や企業のプライバシーを著しく侵す盗聴行為が取材活動において許されるはずはない。

 メディア間では、過酷な取材競争が巻き起こる。ときに行き過ぎと批判されるが、盗聴という行為に及ぶのは、明らかなルール違反であり、違法行為でもある。英ニューズ紙が廃刊に追い込まれたのは、著しいルール逸脱行為に対し、世論や他のメディアの正常な判断が作用したからに他ならない。

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