為替介入が期待外れに終わり、円高を嫌気して上値も重い清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年08月10日 17時20分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国市場が大幅反発となったことから買い先行となりました。ただ、昨日の午後に切り返したことである程度反発を織り込んだ格好となったことや、為替が円高に振れたこと、また、外国人が相変らず売り越し基調ということもあり、寄り付きからの買いが一巡となると上値も重くなりました。とりあえず信用収縮からの売りのスパイラルは止まったもののまだまだ疑心暗鬼ということで、しっかりと買いきれないということなのでしょう。業績面から割安感が強い銘柄も多いのですが、最後まで買い切れないということなのだと思います。

 証券取引においては単純なリターンや買い付け時の目にみえる手数料などは気にされることが多いのですが、表面上はみえてこない手数料などをあまり気にすることはないような気がします。実際に外国債券等は表面上の利回りは高くても、政治リスク、流動性リスク、為替リスク等があまり考えられておらず、また、手数料自体も案外小さくはないということに気がつかない人も多いのではないかと思います。

 規制当局も投資信託や「債券」なら安全でFXや「仕組み債」などは危険、と画一的に考えがちですが、根拠のない毎月分配型の投資信託や多くの手数料を取られてしまう外国債券、そして為替ヘッジもままならない外貨預金等が意外にもてはやされたりするのです。また分散投資などという名のもとにわけのわからない債券を買ってみたりということも多いのではないかと思います。

 確かに分散投資も必要ですし、外国債券も毎月分配型の投資信託もうまくいっている時は手数料の高さや無理な配当が気にならないのでしょうが、いったんうまくいかなくなった時にどう対処すればいいのでしょうか。表面上の利回りだけにとらわれず、本当のコストを考えた方が良いと思います。株式の売買にしても、手数料を気にする向きも多いのですし、安いにこしたことはないのですが、手数料をよけいに払った分、安く買えて高く売れれば手数料などは問題にならないと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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