不動産会社の7割、最高裁の更新料有効判決は「妥当」

» 2011年08月10日 12時53分 公開
[Business Media 誠]

 最高裁は7月15日、賃貸物件の更新料特約が消費者契約法に照らして有効か無効かを争っていた3件について、「更新料は有効」という判断を初めて下した。2009年の大阪高裁では2件が「無効」、1件が「有効」とされたが、この判決は不動産営業の現場にどのような影響を与えるのだろうか。

 ネクストの調査によると、最高裁での更新料を有効とする判決を「妥当」とした不動産会社は71.8%と、「妥当ではない」の8.9%を大きく上回った。個別の意見を見ると、「地域ごとの問題もあるので一概に良い悪いはケースバイケースである」(千葉県の不動産会社)、「有効ではあるのでしょうが、順次廃止またはない物件が増えると思われる。ない物件が(顧客から)選ばれるのでは?」(山形県の不動産業者)などがあった。

最高裁の更新料有効判決について、どう思いますか? (出典:ネクスト)

大阪高裁の更新料無効判決の影響

 不動産会社のうち現在、更新料のみを請求しているのは38.5%、更新料と更新事務手数料の両方は27.4%、事務手数料のみは11.4%、更新料も事務手数料も請求していないのは22.7%。地域別にみると、関東地方や京都では更新料を請求している会社が多いようだ。

 2009年の大阪高裁の更新料無効の判決を受け、業界ではどのような影響があったのだろうか。更新料を請求している不動産会社のうち、「特に新たな取り組みはしていない」が59.7%と過半数を占めていたが、「更新料を下げた」(16.7%)や「契約書を見直し、改訂した」(10.1%)、「同意書を別途、準備した」(10.1%)などの対策をした会社もあるようだ。

 また、更新料を請求していない不動産会社の12.2%が「更新料をなくした」と回答しており、大阪高裁の判決は少なからず影響を与えていると言えそうだ。

(更新料を請求している不動産会社の)2009年から今回までの判決までの期間にした取り組み(出典:ネクスト)

 「最高裁の判決を受けて、今後懸念していること」を聞くと、最も多かったのは「入居者からの問い合わせなどが増える」で36.1%。以下、「家主からの問い合わせ」が27.3%、「更新事務手数料収入に影響が出る」が16.6%、「更新料がなくなる」が13.7%、「賃料に影響が出る」が13.7%で続いた。

 インターネットによる調査で、対象は住宅・不動産情報ポータルサイト「HOME'S」に加盟する、賃貸仲介・物件管理業を営む全国の不動産会社699社。調査期間は7月15日から24日。

最高裁の判決を受けて、今後懸念していること(出典:ネクスト)

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