リスク許容度の低下、信用収縮から大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年08月09日 08時44分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>2097.56▼202.32

<TOPIX>782.86▼18.10

<NYダウ>10809.85▼634.76

<NASDAQ>2357.69▼174.72

<NY為替>77.78▼0.71

国債格下げの影響を懸念、欧州金融不安も強まりリスク許容度の低下、信用収縮から大幅下落

 G7声明で具体的な方策が示されなかったことや米国債格下げの問題だけではなく、政府系住宅金融会社なども格下げとなったこと、また、欧州でもスペイン、イタリアからベルギーやフランスにまで財政不安が飛び火していることなどから一斉にリスク許容度が低下、リスク資産を縮小する動きで大幅下落となりました。株式を筆頭に商品などリスクの大きなものから売られ、株式などが売られることでさらにリスク許容度が低下して売りが嵩むというような展開でした。比較的為替は落ち着いていたのですが、円にさえ資金を振り向けられないほどリスク許容度が低下したということなのかもしれません。

 ここまで大きな動きになると思いませんでしたが、連鎖的なリスク回避の流れとなったものと思います。リスク許容度が低下してリスクを回避する動きになり、リスクを回避する動きがまたリスク許容度を低下させ、リスク資産の売却につながるという流れになったものと思います。業績や景気動向を見極めるというよりは「株式投資」や「商品への投機」そのものに対するリスクが許容できないというような状況となったようです。投資家やファンド筋などが許容できるようにリスクを軽減させる方策が必要ということでしょう。

 個別には先行き懸念から見切売りが続く中で、訴訟問題もあってバンク・オブ・アメリカは20%急落、JPモルガン・チェースも9%以上の急落となりました。リスク資産を売却する動きから特に個別の材料に反応するということもすくなく、インテルやアップル、IBMといったハイテク銘柄は3%〜5%の下落、景気敏感銘柄のGE(ゼネラル・エレクトリック)は6%、キャタピラーは9%、フォードモーターは8%と軒並み大きな下落となりました。比較的下落幅が小さいコカ・コーラやプロクター・アンド・ギャンブルなどディフェンシブ銘柄でも2%台の下落となりました。金価格が暴騰していることでパブリック・ゴールドはかろうじてプラス、ニューモント・マイニングは小幅安となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は週末に米国債の格下げが伝えられたこと、そしてそれを受けてG20やG7が開催されたものの具体的な解決策が示されなかったことや米国での株価暴落懸念から売られ大幅安となりました。為替は介入期待もあって落ち着いていたのですが、介入がみられないと見切売りもみられ、徐々に円高に振れる動きとなり、株式市場も下げ幅拡大となる場面もありました。好調な決算や景況感もみられるのですが、外部要因が気になり売り急ぐということのようです。

 日本市場は昨日の大幅下落で米国株安をある程度織り込んでいるとはいえ、シカゴ市場(CME)の日経平均先物の終値は大震災直後の安値を窺うような雰囲気となっており、大幅下落となりそうです。ただ、中国の経済指標の発表や為替介入などをきっかけに下げ渋る可能性もあり、為替の動向や中国経済指標の発表は大いに注目されるものと思います。逆に中国経済指標が芳しくなく、為替の介入もないと見切売りが嵩むのだと思います。金関連銘柄や内需の小型銘柄が幕間つなぎ的に買われる可能性もありますが、総じて大きな下げとなりそうです。

 下値の目処が次々と破られていく状況はまさしく「リーマン・ショック」の時と同じような状況です。あの時もリスク許容度が大きく低下するなかでファンドの決算に絡む売りなどが嵩んで大きな下げとなったのですが、今回も全く同じような状況です。下落のスパイラル(連鎖)がどこで止まるかということですが、下値の節目とすれば、8800円〜900円水準、8500円〜600円といった大震災直後の安値水準や昨年夏場の安値水準となります。

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