赤木:第一志望の企業に就職できた自尊心と生活のためのお金をきちんと分けて考えなければいけません。いい企業に就職すればたくさんの給料がもらえる。そうなれば生活が安定する。このような考えが固定化されてしてしまうと、就職できない人が路頭に迷ってしまう。
社会保障的なものは、基本的にお金で解決することができます。少なくとも衣食住に関しては。ところが生きる上での目的、喜び、悲しみなどは社会保障で手にすることはできません。なので第一志望の企業に就職できた自尊心と生活のためのお金は、きちんと分けて考えなければいけません。でないと、かなりヘンなものにまで補償しなければいけなくなります。逆に必要なものが補償されなくなるかもしれません。
労働に関しては「働くという権利を守ること」が基本だと思われています。しかし働くことは、守られなくてもしょうがないかなあとも思っています。守られるべきことは生活することであって、働くことではありません。
城:なるほど。
赤木:小さいころから、どこかの業界または企業に狙いを定めて、そこに教育を与えていくことも必要かもしれません。もちろん成功する人もいれば、失敗する人も出てくるでしょう。でも失敗しても、生活に困窮することはなく、不本意でも働くことはできる。または働けなくても、生活することはできる。大人になってから不本意な生活を送るようになった人も、また別の目標を定められるようなシステムを作らなければいけないでしょうね。
城:企業の組織を母体にした身分制度じゃないとしたら、今後はどうなると思いますか? 例えば東京電力は福島第1原発で事故を起こしました。あれだけ大規模の事故を起こせば、普通の企業であれば潰されて当然です。会社を潰して、年金基金を大幅にカットし、そこから再出発すればいい。また電気料金も自由化にして、どこかの企業が新規参入してくれば、既存の電力会社は電気料金を引き下げるなどして対抗すればいい。
原発の作業員は下請けが多い。リスクが高い仕事なのに、賃金はものすごく安い。しかしリスクが高いので、東電の正社員よりも下請け労働者の給料を高くしてもいい。
赤木:そうですね。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング