城:またゴールだったはずの東京に来ても、何もすることがない(笑)。でも毎日の生活は楽しかった。東京に来ると、いろいろな遊びがあるし、情報もたくさんあるので刺激を受けていたんでしょうね。
そして、そろそろ就職のことを考えなければいけないといった時期になったとき、「あれ? オレ、何をすればいいんだろう?」と、入学時と同じような感覚を味わうわけですよ(笑)。
赤木:ハハハ。
城:同級生は「そんなことを言っている場合じゃない。就職活動は大変だから、早く準備しないと」なんて言っていました。僕は東京大学の法学部に通っていたのですが、同級生の多くは司法試験を受けて弁護士を目指したり、国家公務員一種試験を受けて官僚を目指していました。民間企業を受ける学生は少なかったのですが、受けた学生は大企業にしか興味を示していませんでしたね。しかも業界ナンバーワンばかり。
彼らは当たり前のように、こんなことを言うんです。「オレは大手企業でしか働くことを考えていない。しかも業界ナンバーワンでないとダメ」と。でも、これって世間の感覚からすると、かなりズレていますよね? 面接の席でも「僕は大手企業でしか働くことを考えていません」と明言して、面接官からムッとされる人もいます。当たり前ですが(笑)。
赤木:ハハハ。
城:僕は目的がないままいい大学に入学するために、東京に出てきました。やりたいことがない人生というのは、地方から出てくるときに始まっていました。ただ“蜃気楼的”なゴールがあったんですよ、「いい企業に就職する」というゴールが。
赤木さんの話を聞いていると、蜃気楼的なゴールがあるように感じられませんでした。それなのになぜ東京に出ようと考えていたのでしょうか。
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