コラム
» 2011年08月09日 08時00分 UPDATE

松田雅央の時事日想:メガソーラー時代がやって来る! (1/3)

原発事故後、将来の主力電源としてソーラー発電が注目されている。ソーラー発電にすると「電気代が高くなる」「電気を安定供給できない」といった声があるが、本当にそうなのだろうか。欧州のソーラー発電事業に迫った。

[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 周知の通り、将来の主力電源としてソーラー発電が注目を集めている。

 ポテンシャル(開発の余地)は十分。でも発電コストが高く、天候による発電量の変動が弱点だった。しかし条件は急速に改善されつつあり、2013年には売電価格が家庭用の電力消費価格を下回ると予想されている。

 ソーラー発電の今後は「より大型に」「より南に」。開発の主力は照射エネルギー量の多い南へ移り、北アフリカのメガソーラーが欧州の電力を担う日が遠からずやって来そうだ。

ソーラー発電の価格競争力

 太陽電池の市場価格は生産量の拡大とともに値下がりを続け、反対に発電効率は上昇している。結果、ソーラー発電は価格競争力をつけつつあるのだが、実際はどの程度なのだろう。

 この時事日想でも何度か取り上げたように(関連記事)、ドイツではソーラー電力の売電価格は再生可能エネルギー法(EEG)により保証され、現在のところ1kWh当たり30円程度に設定されている。売電価格は設備の市場価格の動向を見ながら設置者が10〜15年で投資を回収できるよう政策的に定められているもの。設備(主に太陽電池)の市場価格が下がるのに合わせ、売電価格も値下げ改定されている。

 現在のところ、家庭用小型ソーラーの売電価格は家庭用電力消費価格より2割程度高い。そのため自宅でソーラー発電している設置者は、ソーラー電力をすべて売電し、自宅で使う電力は電力会社から普通に買っている。ところがこの価格の上下関係が逆転すると、今度はソーラー電力をまず自宅で使い、余った分だけ売電するようになる。いずれもその方が経済的に得をするからだ。

 こうなって初めて「自宅で作ったソーラー電力を自宅で使う」という真にエコな発電が実現する。その意味でこの価格逆転は重要な分岐点であり、ソーラー発電が価格競争力を得た証と言っていい。

yd_matuda1.jpg 縦軸:1kWh当たりの単価、横軸:Jahr=年。小規模ソーラー電力の売電価格と家庭用電力価格の推移。青線は小規模ソーラー電力(出力30kWまで)の売電価格、赤線は家庭用電力消費価格。2013年ごろ、売電価格と消費価格の逆転が予想される(出典: ドイツ環境省)
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