大幅高の反動の割りに上値が重い清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年08月08日 08時34分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9299.88▼359.30

<TOPIX>800.96▼25.40

<NYダウ>11444.61△60.93

<NASDAQ>2532.41▼23.98

<NY為替>78.49▼0.38

雇用統計は予想通り改善しているが、欧州金融不安などから大幅高の反動の割りに上値が重い

 週末の米国市場は前日の大幅下落にも関わらず冴えない始まりとなりました。雇用統計は失業率も非農業部門従事者数も前月より改善したのですが、特に取り沙汰されることもなく、欧州金融不安や米国格下げ懸念から上値の重い展開となりました。それでもナスダックは軟調となりましたが、週末の手仕舞いの買い戻しもあってダウ平均は堅調となりました。米国市場の引け後に国債の格下げが発表されましたが、ある程度織り込まれていたことに加え、格付け会社1社の格下げであり、特に影響はないと思われます。

 スペインやイタリア国債の問題などもあり、G20やG7の会合が週末から週明けにかけて開かれるようですが、ソブリンリスクも今に始まったことでもなく、格付け会社に問題があることはサブプライムローン問題の時にも指摘されており、特に影響されることもないのでしょうが、米FOMC(公開市場員会)でQE3(量的緩和)に言及させるように周りで大きな騒ぎとする可能性もありそうです。ただ、企業業績が急激に落ち込むような資金供給の不足となる可能性は低く、格下げの影響も限定的となりそうです。資金の回転が滞ることがないかどうかをしっかりと見極めておけば一過性の騒乱ということですぐに落ち着くのだと思います。

 個別には欧州金融不安は根強く、JPモルガン・チェースは軟調、シティグループは大幅安、バンク・オブ・アメリカは金融商品の販売に絡む訴訟費用が嵩んだとして大きく売られました。雇用情勢が改善していることなどもあり、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感銘柄も高いものが見られ、コカ・コーラやホーム・デポ、ウォルマートも前日の大幅安の反動や週末の買い戻しから堅調となりました。インテルやアップルは軟調となったもののIBMやグーグルは堅調、ノキアは大幅高となりました。1株利益が予想を上回ったプロクター・アンド・ギャンブルが堅調、大幅な増収増益を発表したプライスライン・ドットコムも大幅高となるなど、好決算には素直な反応となっていました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は欧米株安などから売りが先行、大幅下落となりました。世界的な景気鈍化懸念から週末の手仕舞い売りもかさみ、外国人も売り越し基調ということで売り一巡後も戻りが鈍く、大幅安となりました。米FOMC(公開市場委員会)などを控えてファンドなどの持高調整、手仕舞い売りがかさんだものと思われます。好決算への反応も鈍く、割安・割高なども関係なく、目先の需給に大きく押された格好となりました。

 米国市場はまちまちとなりましたが、雇用統計に改善が見られたことから、本来でしたら週末のヘッジ売りの買い戻しも交えながら買い先行となることが期待されます。ただ、米国市場の引け後に米国債の格下げが発表されたことから、世界的な金融の混乱を嫌気する動きから混乱(?)しそうです。雇用統計の数字も他の経済指標もそれほど慌てて売らなければならないほど悪いということもなく、単純にヘッジファンドの手仕舞い売りやQE3を催促する売りということではないかと思います。日本でも政局の混乱がみられ、積極的に買い上がるということもないのでしょうが、底堅さも見られるのではないかと思います。好決算を発表、業績の上方修正をしているような銘柄をしっかりと物色していけばいいのではないかと思います。

 下値の節目である9200円〜300円水準を固める動きとなりそうです。次々と下値の節目を割り込みましたが、さすがに下げ渋り、下げ止まりも見られるものと思います。足元の業績は順調な回復を示しており、新興国でのインフレや景気後退もまだまだ懸念というところに止まっています。欧州の債務問題も一朝一夕に何とかなるものでもなく、G20やG7会合の結果を踏まえての反応となりそうです。米国債格下げのニュースも過剰反応することもないのでしょうが、過剰反応となるところからはしっかりと反発となるのだと思います。

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