欧米株や商品相場が大幅下落、日本市場も大暴落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年08月05日 18時08分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 好決算を発表する銘柄等もあるのですが、好決算銘柄への反応は鈍く、逆に芳しくない決算を発表した銘柄が出尽くし感から買われるというような場面もありました。業績動向や金利為替というところに関係のない、景気鈍化懸念が取りざたされて売られているということでしょう。ただ、昨日の欧米株の大きな下落も多分に持高調整の売り、ファンドの決算がらみ、あるいは米FOMC(公開市場委員会)を控えての手仕舞い売りということではないかと思います。

 景気鈍化懸念が大きく取りざたされていますが、景気が鈍化したわけでも、欧州の金融不安が高まる、欧州銀行への不安が高まったわけでもなく、金先物の下落などが景気鈍化や金融不安と結び付けられて売られたという感じです。ファンドの9月決算の「45日」ルールでの手仕舞い売り、あるいはFOMCでQE3(量的緩和)に言及があるのかどうかなどを見極めたいということなのではないかと思います。

 FOMCが万が一金融緩和の流れがみえないということになり、欧州での金融不安が高まって、ファンドなどへの資金供給が逆流することになると困るのでいったん利益を確保するということもあって、金や原油、債券に株式と全てのリスク資産をいったん手仕舞うという動きになって、世界的な株安となったということだと思います。

 以前に「上海発の同時株安」といわれた時や、欧州金融不安から同時株安となったようなことで、世界的に大きな下落となったものと思われます。根本的に「サブプライム」の時や「ドバイショック」と同じですが、サブプライム時のような不信の連鎖がみられるわけでもなく、信用収縮が実際に進んでいることでもないので、一過性のものではないかと思います。次に買い直すまでは下値を探るという可能性もありますが、ここから大きく底割れとなるようなことはなく、最短では週末、あるいは来週の米FOMCまでということになるのでしょう。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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