コラム
» 2011年08月05日 08時00分 UPDATE

なぜ「報・連・相」は徹底されないのか (1/2)

企業研修で重視される報連相。個々人の報連相能力を高めるために企業は多大の努力をすべきだが、大企業でもその文化が徹底している企業は少ないという。それはなぜなのだろうか。

[近藤紘,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:近藤紘(こんどう・ひろし)

Clehk Centro Liderazgo y Estrategia SC 社団法人クレックリーダーシップ・戦略センター 社長。早稲田大学商学部卒業。1972年末メキシコに渡る。1973〜1984年メキシコ日産。1996年末までグアダラハラのヤクルト販売会社社長。1997年国際アントレプレナーズカレッジ設立。公立グアダラハラ大学大学院マーケッティング学科にてマーケッティング戦略担当、グアダラハラ自治大学国際学部にて日本関係部門担当、ほか大学で教鞭。


 『プレジデント』5月2日号に「評価の72%は『報・連・相』で決まる!」と衝撃的な見出しで報連相特集が出ていました。なぜ衝撃的かというと、日本でも今は欧米流に知識やスキルがその人の価値を決めるような現象が起きているからです。

 私はメキシコで社員教育やコンサルタントをする中で企業文化作り、特に報連相の重要性を強調してきたため、「日本でもそうか」とうれしくなるとともに、「日本のようなかなり集団を大切にする風土があるところでも徹底していないのだな」といまさらながら、その難しさを感じています。

 20年以上前、報連相のスペイン語としてAviConRep(Aviso=連絡、Consulta=相談、Reporte=報告の3語の略)をAutoRep(自責)という言葉とともに、私が経営していた会社やコンサルタントをしている会社などではやらせました。企業文化の基礎と思っています。

 日本ではかなり前から報連相研修は盛んですね。それでも大企業を含めてこの文化が徹底している企業は少ないようです。なぜでしょうか。繰り返しますが、報連相もリーダーシップ力、指導力、営業力、コミュニケーション、そのほか諸々の特に上級管理職に必要な能力が知識やスキルとして扱われる欧米流になっているからではないでしょうか。だから個人的に人間力の点から素質があるもの、自分の人生のなかで少しは地盤ができているもののみが実行し、そのほか大勢は分かっているけど実行できない状況だと私は分析しています。

 本当の報連相能力を身に付けるには、小さいころから家庭で身に付けてきた人以外は、何年も何年もかかるはずです。

 「山田君、先週頼んだレポートできてる?」とあなたが尋ねたとしたら、そのような質問をされた山田君は部下として大きな欠陥を持っていることは明らかですが、同時にその上司であるあなたにも問題があると思われませんか。「おい、佐藤君、先月の営業報告書を来週までにやっておいてくれないか」というような頼み方をし、佐藤君が「はい分かりました」と返事をしているようなケースがあるようです。

 頼む方も頼む方ですが、当然、佐藤君は「部長、これは役員会用のものですか。それとも毎月作成している数字が中心となった簡単な報告書でいいのですか。来週のいつまでに必要です?」と聞き返すべきでしょう。

 「来週の火曜日にできたらありがたいな」

 「では、一昨日ご指示いただきました、D社用プレゼンテーションの準備は少し遅れて、来週の木曜日になってもいいですか」

 「うーん、それも困るな。プレゼンテーションは金曜日だが、何億円の成約につながるものだし、じっくり分析検討したいからな」

 当然山田君は指示だけ待っていて、ほかに仕事はないということはありえないだろうし、仕事の優先順位もあるはずです。仕事を請ける方、頼む方、すべてその人のリーダーシップ力だと思いませんか。

 報連相というのは全方向性のものです。報告や連絡、相談も部下が上司に対して行うものと思っていたら大間違いです。部下に相談という形をとりながら仕事を進めなければ、いざという時に大きな力を発揮できないでしょう。

 私はずるいとも言われましたが、大きな難しい仕事をさせるときには、必ず部下に相談し、その重要性を納得してもらってやりました、とすると必要であれば土日にもやってくれる場合もあります。要するに部下に生き生きと情熱を燃やして仕事をしてもらうには研修で習ってきた手先の技術を使ってもやれません。

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