労働時間が、減らないワケ城繁幸×赤木智弘「低年収時代よ、こんにちは」(2)(3/5 ページ)

» 2011年08月05日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

若い世代は出世することが難しい

「当たり前」をひっぱたく』(著・赤木智弘、河出書房新社)

城:日本の労働時間は世界一長く、有給休暇の取得日数は世界最低。しかし経済は停滞している。なぜなら生産性が低いから。生産性が低いということは、生み出している単価に対し労働時間が長いということ。節電をきっかけに、労働時間を見直すことになればいいのですが。

赤木:「労働時間を短くしよう」という動きはこれまでにも何度もありましたよね。最近だと「イクメン」という言葉を使って、労働時間を短くさせようという動きがあります。サラリーマンを家に帰らせようとしているわけですが、その考え方では、子どもがいない単身男性にとっては早く家に帰る理由がないわけですよ。

 「趣味のために早く帰る」という理由がなかなか一般化しないのは、労働時間を短くしようという問題から逃げているような気がしてなりません。「早く家に帰って育児をしましょう」「家族サービスをしましょう」といった言葉がありますが、なぜ「ゲームのために早く家に帰りましょう」と誰も言わないのか。この言葉を認めない限り、労働時間を短くすることは難しいでしょうね。

城:僕は、若い世代に期待しているんですよ。「仕事が終わったら家に帰ります。仕事があるのであれば、朝に言ってください」と上司に言ってほしい。

 いまの45歳以上の人たちは、日本企業のカルチャーの中で仕事をしてきて、それなりに出世している。しかし20〜30代の人は、45歳以上の人のように出世することができません。なので仕事が終わったら、とっとと家に帰ってほしい。アフター5に自分のしたいことをする――このほうが人生は充実するのではないでしょうか。

赤木:若い世代には、これまでのように多くのポストを用意できませんからね。昔のように拡大、拡大でやっていくことはできません。

 拡大路線がとれなくなってしまうと、出世できる人はひとにぎりで、下っ端はずっと下っ端。下っ端であれば会社に依存しなくていいわけですよ。会社では下っ端だけど、地域の人とコミュニケーションをとったりして、自分の人生の満足度を高めることが大切ですよね。

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