景況感は芳しくないが大幅下落の反動もあって堅調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年08月04日 08時55分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9637.14▼207.45

<TOPIX>826.75▼17.21

<NYダウ>11896.44△29.82

<NASDAQ>2693.07△23.83

<NY為替>77.06▼0.10

景況感は芳しくないが雇用に対する懸念が薄れ大幅下落の反動もあって堅調

 朝方発表されたISM(米サプライマネジメント協会)非製造業景気指数は予想を下回って悪化したことから売り先行となりました。ただ、ここまで景況感の悪化先取りするように大きく下落となっていたことの反動や民間調査の雇用リポートが予想を上回ったことなどから買戻しや値頃感からの買いも入り切り返しとなりました。日本企業の大型M&A(合併・買収)の話題から買われるものなどもあり、堅調となりました。ただ、週末の雇用統計を控えて積極的に買い難いことや景況感が依然好転していないことなどから、戻りも限定的となりました。

 QE3(量的緩和)に対する期待が薄れたことで、大きな下落となった面もありそうですが、景気に二番底が喧伝されることによって、QE3に期待も高まり、反発となってくるのではないかと思います。資金供給が潤沢であれば、足元の企業業績が極端に悪化しているわけでもなく、雇用や個人消費も大きく落ち込むことはないと思います。景況感指数にしても予想は下回ったものの景況感が悪いということでもなく、QE3に対する期待があれば気分的な下支えとなってくるのだと思います。

 個別にはドル安メリットの期待されるインテルやコカ・コーラが好調な決算もあいまって買われ、大幅な増益決算を発表したマスターカードも素直に買われるなど値頃感もあってセンチメントも好転したようです。日立(6501)と三菱重工(7011)の経営統合の話題からGE(ゼネラル・エレクトリック)が高く、指数を押し上げる要因となりました。ISM非製造業景況感指数は予想を下回ったのですが、ベライゾン・コミュニケーションやAT&Tは高く、逆にキャタピラーやフォード・モーターなどが軟調となりました。金先物価格が連日の大幅高となったことで、パブリック・ゴールドやニューモント・マイニングなどは堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安などを受けて売り先行となり、連日の大幅下落となりました。為替が円高傾向にあることや外国人も売り越し基調ということ、世界的な景気鈍化懸念などから見切売りも嵩んで買い気に乏しいなかでほぼ全面安となりました。好決算を発表する銘柄もあり、堅調となるものもあったのですが、物色対象も広がらず、押し目買いや買戻しを急ぐ動きもなく、指数の動きは鈍く、終始冴えない展開となりました。

 米国市場が反発となったことや米国でQE3(量的緩和)の可能性が出てきたことで買い先行となりそうです。米国景気に対する懸念も根強いのですが、業績が想定されたよりも好調と伝えられながらも地合いの悪さに押された銘柄などの反発は期待されるものと思います。日本国内の景気動向というよりは海外市場動向や情勢に押されて売り急ぐような場面もあったことから、反発は期待できそうです。為替も円安とはなりませんが落ち着きを見せていることで、売られすぎた主力銘柄などの戻りは期待されそうです。大型M&A(合併・買収)の話題なども好感されるニュースだと思います。

 9500円〜600円水準といった下値を試す動きとなりました。一目均衡表の雲にサポートされての反発も期待されますが、いったんは9800円〜900円といった水準が上値の目処となってくるのかもしれません。米国景気の動向がまだ不透明、世界景気の鈍化件も根強いことから、日本株を積極的に買い上がるような情勢でもなく、政局の混乱などもあり、当面は上値も重いと思われます。

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