アスキー総合研究所所長の遠藤諭氏が、コンテンツ消費とデジタルについてお届けします。本やディスクなど、中身とパッケージが不可分の時代と異なり、ネット時代にはコンテンツは物理的な重さを持たない「0(ゼロ)グラム」なのです。
本記事は、アスキー総合研究所の所長コラム「0(ゼロ)グラムへようこそ」に2011年08月3日に掲載されたコラムを、加筆修正したものです。遠藤氏の最新コラムはアスキー総合研究所で読むことができます。
地球上では争いが絶えないが、デジタル業界では今、それ以上ともいえる熾烈な戦いがいくつも起こっている。わたしが注目している範囲でも、7〜8個の分野が「戦場」と化していると思う。マイクロソフトとインテルによる長期政権の時代はとても安定していたが、今や第一次世界大戦前夜の世界を思わせる不安定さだ。
・「ソーシャルメディア」の戦い
Facebook対Google+の戦いの一方、今年末には日本に本格進出するとも言われるビジネスパーソン向けのLinkdIn(参照記事)が、世界では1億人のユーザーを獲得。日本のmixiなど、各国独自のSNSは抵抗勢力のようにも見えてくる。位置情報やQ&Aをベースにしたソーシャルメディアも登場してきて、Facebookのような“なんでも型”のSNSが最終形ではないという見方もあるだろう。
・「クラウド型コンテンツ」の戦い
音楽配信が、Napster→iPod→iTunes以降の次の節目を迎えていて、Apple×Amazon×Googleという混戦模様を呈している。この後には「映像」があり、Android3.1を搭載したGoogleTVが間もなく発表される(参照記事)。米国の動画サービスである「Netflix」や「Hulu」が、AmazonやiTunesのように日本に乗り込んでくる可能性だってあるだろう。
・「モバイル」の戦い
Androidのシェアが伸びているが、9月か10月にはiPhone 5の発売が噂されている(参照記事)。iOSとAndroidの戦いだけではなく、サムスンやHTCなどの端末メーカーとAppleの争いでもあるという、二層構造になっている。また「特許」の戦いでもあり、破産したノーテルの特許取得をあきめたGoogleが、IBMから1000個以上の特許を買っていたというニュースもあった(参照記事)。マイクロソフトも含めて、水面下でのせめぎ合いは激しさを増している。
・「オフィス」の戦い
マイクロソフトとGoogleが、クラウドを使ったオフィス向けのサービスで競合している。「Microsoft Office 365」(参照記事)と「Google Apps for Business」(参照記事)がそれで、今までイントラネットで提供されてきた、メールやスケジュール管理あたりから、電子会議、ワープロ、表計算まで、「どうぞクラウドでやってください」と言い出した。どちらも1人あたり月額数百円〜1000円程度という料金設定で、ほとんど電話代のような感覚だ。
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