景気鈍化懸念から売りが先行、ほぼ全面安で指数も大幅安清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年08月03日 20時28分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国市場が債務問題は一段落となったのですが、世界的な景気鈍化懸念が強まって大きく売られたことを受けて日本市場も大幅安となりました。米国の経済指標が芳しくないということや中国での利上げ懸念も浮上し、好決算を発表して買われていた銘柄は手仕舞い売りに押され、芳しくない決算を発表した銘柄は見切り売りに押されるという状況でほぼ全面安、大幅安となりました。個々の企業の業績などを見ると決して売り急がなければならないような水準でもなく、そこまで買われていたということでもないのですが売り急ぐ展開となりました。

 米国でも日本でも株式を保有していること自体が非常に大きなリスクを抱えているというかの如く売り急ぐ動きもみられました。下値をむきになって売り続けるというような売り方ではなく、手仕舞い売り、見切り売りのようにとにかく売ることが目的というような売り方でした。日米ともに足元の経済指標は決して良いものばかりということでもなく、景気に対する懸念が強いことは強いのですが、今回の債務問題や少し前の米QE2(量的緩和)終了における相場の下落のように、ふたを開けてみればたいしたことではないということに敏感に反応しているということでしょう。

 株価の動向だけでなく経済指標の見方にしても実際の数字よりもその見方で周りが振りまわされている感じです。本来のあるべき姿よりも危険、だとか危機回避に大きく反応してしまっているようで、リスクを取ること自体を嫌うということが多いような気がします。日本の株式投資でも、今や対面営業で、「この銘柄を買いましょう、売りましょう」などというような営業自体がなくなっていますし、株式を勧めること自体が違法行為であるかのような感じです。

 一方で、証券会社の顧客は証券マンに求めるのはアナリストレポートを持ってくることではなく、今の経済情勢や儲かる株の情報を求めているのです。もちろん、嘘八百を並べてだますような輩が多いので、株の推奨販売などは禁止となったのですが、いろいろな投資のアドバイスを求める人達も多いのではないかと思います。そしてのアドバイスの方法もインターネットを通じてみたり、実際に会って話をしたりといろいろな方法があっても良いと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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