景気鈍化懸念が強まり、一難去っても大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年08月03日 08時43分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9844.59▼120.42

<TOPIX>843.96▼7.74

<NYダウ>11866.62▼265.87

<NASDAQ>2669.24▼75.37

<NY為替>77.16▼0.03

芳しくない経済指標の発表を受けて景気鈍化懸念が強まり、一難去っても大幅下落

 朝方発表された個人消費支出が予想に反して減少したことなどから景気鈍化懸念が強まり大幅下落となりました。財政赤字縮小が強調されることで、QE3(量的緩和)に対する期待がしぼみ、景気鈍化懸念が強まったものと思います。景気鈍化懸念が強まればQE3実現への機運が盛り上がり、株式市場も盛り返していたのですが、財政問題から、資金を潤沢に供給できるのかどうかが懸念され、リスク回避の動きとなったものと思います。ただ、まだリスクからの回避という段階であり、信用収縮からの資金不足ということでもなく、経済指標に一喜一憂しながら下値を探ることになりそうです。

 「FRB(連邦準備理事会)が何とかしてくれる」という期待が財政不足ということで懸念されて、手仕舞い売りやリスク回避の動きが進んだのだと思います。また、債務上限の引き上げが合意したということで、逆に国債が格下げになってもデフォルトはないということになり、景気鈍化懸念が強まるなかでリスク回避として株式から国債に資金シフトも起きたのだと思います。今後雇用や個人消費などの指標に好調なものがみられる、あるいは中国やインドなど新興国の経済拡大が続いているとみられる指標が見られれば景気鈍化懸念も薄らぎ、株価も戻るのだと思います。

 個別には個人消費支出が予想を大きく下回ったことからウォルマートやターゲットなど消費関連銘柄が軟調、好調な決算を発表したコーチも売られました。財政削減の影響で景気鈍化懸念が強まり、GE(ゼネラル・エレクトリック)やキャタピラー、アルコアといった景気敏感銘柄やインテル、アップルIBMなどのハイテク銘柄も軒並み軟調、7月の新車販売台数が6月より伸びが鈍化したと言うことで、消して悪いわけではないのですが、フォード・モーターやGM(ゼネラル・モーターズ)が大幅安となりました。欧州の国債格下げ懸念もあってJPモルガン・チェースなど銀行株も売られました。景気鈍化へのリスク回避として金先物が買われて大幅高となったことで、パブリック・ゴールドやニューモント・マイニングなど金鉱株は高くなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は前日の大幅高の反動や米国株安、世界的な景気鈍化懸念から大幅下落となりました。外国人も売り越し基調と伝えられて寄付きから大きく下落、好決算への素直な反応もみられたのですが好決算への反応は長続きせず芳しくない決算は長く引きずるような格好で買い気に乏しい中で大幅下落となりました。持ち高調整の買戻しもみられ、円高の割りに堅調な輸出株などもみられましたが、幕間つなぎで買われる銘柄もみられず大幅安水準で小動きとなりました。

 世界的な景気鈍化懸念が強まって米国株が大幅下落となったことを受けて日本市場も軟調な展開となりそうです。為替は若干落ち着きもみられるようになりましたが、リスク回避の動きが強まっており、好決算を発表した銘柄なども手仕舞い売りや出尽くし感からの売りが嵩むことになりそうです。業績や景気動向にあまり関係のないところで、代替エネルギーや蓄電池などへの思惑から物色されるような銘柄や値動きの良さだけをみて買われるような銘柄が幕間つなぎ的に買われるのだと思います。

 シカゴ市場(CME)の日経平均先物が9600円台まで下落となったことで、節目とみられた9800円〜900円水準では下げ止まらずに9500円〜600水準という次の節目を試すことになりそうです。逆に景気に対する悲観的な見方が強まっているところで、足元の業績動向などをみながら9500円〜600円水準で下げ止まれば、まだまだ下落トレンドに転じたというよりは、戻りを試す過程でのもみ合いが続いているということになるのだと思います。

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