先週末の米国市場は軟調、為替も円高となったのですが、昨日になって米債務問題で合意したとのニュースが伝わり、デフォルトが回避されそうだということで買い先行となりました。外国人も売り越し歩調となったことや今一つドルの上値も重かったのですが、持高調整の買い戻しなども随所にみられて指数を押し上げ大幅高となりました。米国デフォルト懸念で買い切れなかった好決算発表銘柄にも買い直す動きもみられ、先週末に好決算を発表した銘柄などは素直な反応となって値を飛ばすものもみられました。週末の米国GDP(国内総生産)や今朝の中国OPMI(購買担当者景気指数)が決して好調とはいえなかったのですが特に材料視されることもありませんでした。
米国のデフォルトが回避されそうだとのニュースで買われたということですが、本当にデフォルトに対する懸念というのは強かったのでしょうか?ある程度「出来レース」ではないかとの見方もあり、このコラムでもしっかりと本質を見極めましょうという話をしてきましたが、ギリシャ問題にしてもその前のアイルランドの問題や中東情勢緊迫化の問題、また中国のインフレ懸念や景気鈍化も懸念されているうちは大きなことにはならないということが証明されたような感じです。今回のデフォルト問題もその前のQE2(量的緩和)終了の問題もどちらかというと「大山鳴動して・・・」ということではなかったかと思います。
いわゆる「サブプライムショック」が大きかっただけに、それ以来「ドバイショック」にしてもなんにしてもどうしても深刻に考えがちではないかと思います。もちろん極度に楽観的過ぎるのもいけないのでしょうが、マスコミや格付け会社が大げさに騒ぎすぎるのではないかと思います。もちろん、リスクを早めに察知してそのリスクを避けるということは大切なことですが、ある程度のリスクをとらないと得るものも得ることが出来ないということも確かな事実です。リスクとリターンの関係とか、リスクをいかに回避するかということが重視されて、絶対リターンを得るためにはどうしたらいいかということが後回しになっているような気もします。
先週末に述べたように、「ファンド」を作ってリスクを回避するというように積極的に出て、リスクを回避するというか、リターンをどんどん取りにいくことによって相対的にリスクを減らしてしまうということがあっても良いのではないかと思います。もちろん、ローリスク・ハイリターンが理想ですが、ローリスクということを「何もしないこと」だとか「コストを下げること」と考えてしまうと自ずとリターンも限られてしまうのだと思います。長い目で見て「得をした」と思うことがリターンを得るということで、思い切ってやってみてロスをすることは決して「リスク」ではないということなのかもしれません。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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