学部卒でビジネススクールへ、年配の社会人たちに教えられたこととは活躍するMBAホルダーたち(1/4 ページ)

» 2011年08月02日 12時00分 公開
[MY MBA.JP]

 「人中心のコンテンツマネジメント」をコンセプトに、ナレッジマネジメントソリューションのリーディングカンパニーとして、2007年9月にマザーズ上場を果たしたリアルコム。ITを使っての企業の新たなワークスタイルの実現に挑戦し続けている同社CEOの谷本肇(たにもと・ただし)氏にビジネススクール時代のお話をうかがった。

谷本肇(たにもと・ただし)

慶應ビジネススクールMBA、ペンシルバニア大学ウォートンスクール交換留学生。1989年日本ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン入社。内外消費財、ハイテク、製薬業の戦略立案、実行をサポート。1994年米シリコンバレーへ渡り、ハイテク・バイオ分野でのベンチャー企業コンサルティング、日本企業の提携戦略立案・サポートに従事。2000年4月帰国、リアルコミュニケーションズ(現リアルコム)設立。Enterpreneur of the Year(EOY)2005ファイナリスト。

ブログ:What’s going on around Realcom


就職活動で初めて自分の人生のことを考えた

谷本肇氏

――現在の仕事内容をお聞かせください。

谷本 会社自体は2000年に私が立ち上げたもので、主に社内の情報共有、ナレッジマネージメントとかエンタプライズ・コンテンツ・マネジメントという言い方をするのですが、それを活性化するパッケージソフトを開発し、かつ、そのソフトをどのように最大限活用するかというコンサルテーションを提供しています。

 私の仕事はCEOなので会社全体を見てマネジメントしたり、「こういう要件の製品を作ってくれ」と製品開発の際にユーザー視点でリクエストしたり、あとはまあ、ベンチャー企業の社長なので、いまだに営業を一生懸命やったりしています。

――なぜMBAを取ろうと思ったのですか?

谷本 私の場合、実は最後の最後までMBAというものを知らなくて、結果的には学部卒で慶應義塾大学のビジネススクール(以下KBS)に入ったのですが、大学4年生の夏に就職活動をして、普通に企業に就職しようと思っていたんです。

 そのころの私は典型的な大学生だったので、堅苦しい言い方をしたらキャリアプランだとかそういうのがまったくなく、時期が来たからという理由で就職活動を始めた。そんな目的意識だったので、ありがちな有名企業を節操無く、金融だ、商社だ、メーカーだとあたって、その中のある会社から内定をもらったんですが、その時に初めて本当に自分の人生のことを考えた。

 要は、その会社に入ったら、自分はどのような人生を歩むんだろうかと。例えば25歳でこんな感じかなとか、30歳でこんな感じかなとか、もしかしたら、すごく頑張れば役員になれるかもしれないとか、むちゃくちゃラッキーだったら社長になれるかもしれないとかいろいろ想像してみたんですが、その時に、結論的には社長になってもなんだかつまらないなと思ったんです。

 それは、別にその会社がつまらないという意味ではなくて、その会社には社員が何万人もいて、当然優秀な人も山ほどいるわけで、自分がいなくてもつぶれることはないし、別に自分が社長にならなくても、社長として会社をもっと良くできる人がほかに山ほどいるわけで、そうするとなんか、オンリーワンじゃないんだなって思いはじめて。で、急に「やーめた」って(笑)辞めたんです。

 じゃあ、辞めてどうするかと考えた時に、私は自分の力で何かできるような人間になりたいと思ったんですね。それなら、すぐに就職せずにもう一度力を磨こうと、いろんな道を考えていた時に、知り合いからビジネススクールというものがあると教えられて、そのとき初めてその存在を知って(笑)、直感的に行くことを決めたんです。それが大学4年の夏。

 でも、そこから米国のビジネススクールへ行こうとすると、準備などを含めて最短で1年、つまり、社会人になった年の9月ぐらいから行ける計算になるんですよね。で、それはちょっとキツいなあと思って、当時国内で唯一MBAが取れたKBSへ行ってみたらすごくいい先生が何人かいらして、「こんなに質の高い先生がいるなら慶應もいいかな」と思って受験したら運良く受かったので、行くことにしたんです。

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