福島を「フクシマ」と表記する政府の無神経さ(1/2 ページ)

» 2011年07月26日 08時00分 公開
[中村修治,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:中村修治(なかむら・しゅうじ)

有限会社ペーパーカンパニー、株式会社キナックスホールディングスの代表取締役社長。昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。


 マスコミが伝える「フクシマ」に大きな違和感がある。先日、自民党の佐藤正久参議院議員が、Twitterでこんなことをつぶやかれていた

佐藤正久氏のつぶやき

 どうやら政府文書までもが、福島を「フクシマ」と表記しているらしい。いつから福島は「フクシマ」になったのだ。原発の諸問題を扱うマスコミの表記にも「フクシマ」をよく見かける。漢字表記である「福島」とカタカナ表記である「フクシマ」の使い方の違いを定義しているマスコミはあるのだろうか……はなはだ疑問である。

 カタカナ表記である「フクシマ」を使っている理由は、原子力という問題で世界的に有名になってしまった都市=「ヒロシマ」「ナガサキ」と同等に扱いたいがための「フクシマ」だろう。「福島が原発の問題でこんなに世界的に有名になっちゃったから『フクシマ』って使った方が、何かジャーナリズムっぽくねぇ?」くらいの軽い感覚であるのが本当のところではないだろうか……。

 世界から見たら福島は「FUKUSHIMA」である。「福島」の表記を漢字とカタカナで使い分けているのは、日本国内の私たちだけの話である。政府やマスコミが「フクシマ」というカタカナ表記を多用する根底には、「ヒロシマ」「ナガサキ」と同等の世界的問題になっちゃった時代を生きているという「たちの悪い昂揚感と被害者意識」がある。ハッキリというが、無責任である。ほんと、みんな馬鹿野郎っである。

 広島や長崎が自らを「ヒロシマ」「ナガサキ」と表記する背景には、核兵器根絶のための世界への強いメッセージがある。核兵器に一瞬にして支配され、「広島」「長崎」という名前を奪われた悲哀がある。広島県人や長崎県人のみなさんが自らの地を「ヒロシマ」「ナガサキ」と表記する時の覚悟を「フクシマ」と簡単に表記してしまう人たちは分かっておられるのか……。「ヒロシマ」「ナガサキ」「フクシマ」と並べたいだけなら即刻やめるべきである。

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