今年の夏は炭酸がアツい! 飲料市場に異変コンビニ、ヒット商品の理由(1/2 ページ)

» 2011年07月26日 08時00分 公開
[笠井清志,Business Media 誠]

「コンビニ、ヒット商品の理由」とは?:

限られた売り場を最大限に活用して、面積当たりの売り上げを高めているコンビニ。約100種類の新商品が毎週発売されているが、売れない商品は発売から2週間ほどで撤去されてしまう。厳しい審判をくぐり抜け、コンビニでヒットしているのはどんな商品なのか。一般には「おいしい商品」「お得な商品」「テレビCMが放映されている商品」が売れると思われがちだが、実は重要なのは「店頭展開」。このコラムでは、コンビニのヒット商品を展開方法の観点から分析していく。


 2011年夏。今年の夏は過去の夏とは大きく異なる現象が、飲料市場で発生している。

 環境変化としては、「例年よりも梅雨明けが早い」「原発事故の影響による節電」というキーワードがある。2010年は猛暑だったが、今年も昨年並み、いや節電によって体感気温では昨年以上の猛暑となることが見込まれるため、コンビニの飲料売り場にとっては大きな追い風になると予想される。

 3月11日の東日本大震災で大きく落ち込んだ飲料売り上げ。しかし、その後の推移を確認すると、月を追うごとに回復しており、6月にはほぼ前年並みの水準となった。ちなみにアイスクリームも順調に売り上げを伸ばしている。

 ただ、この数値はあくまで前年対比。2010年は7月後半から本格的な猛暑となったため、今後は前年比での鈍化は避けられないと考えている。

あるコンビニチェーンの飲料売上前年同月比推移

紅茶苦戦の理由

 今年の夏も順調に売り上げを伸ばせている飲料市場。その中で起こっている異変とは、「紅茶」の苦戦である。サントリー『リプトン』、キリンビバレッジ『午後の紅茶』、日本コカ・コーラ『紅茶花伝』、伊藤園『Teas' Tea』、アサヒ飲料『TeaO』といった飲料各社が力を入れてきた紅茶ブランドが伸び悩んでいるのである。

『午後の紅茶』(出典:キリンビバレッジ)

 紅茶カテゴリーは味によって4つに分類できる。「ミルク」「ストレート」「レモン」といった定番の味に加えて、近年の紅茶の伸びを支えてきたのが「フレーバー系」である。定番の味ではロイヤルミルクティなどの新機軸を打ち出しつつ、フレーバー系ではオレンジやアップルなど新味の新商品を投入してきたのである。

 これら一連の動きが東日本大震災以降、急激にブレーキがかかった。コンビニの飲料市場では、新商品投入が多いカテゴリーほど売り上げが伸びやすい傾向にある。しかし、紅茶の新商品(主にフレーバー系)が発売されることが少なくなったため(メーカーによると工場被災が理由という)、徐々に売り上げを落としていったのである。定番商品でも安定的な商品供給が困難となり、売れ筋商品の『午後の紅茶』シリーズ(特に『午後の紅茶 茶葉2倍ミルクティー』)などの売れ方にムラが発生した。

 そして一度ダウントレンドになった紅茶カテゴリーに対して、効果的な対策を打てないまま前年割れが恒常化しているのである。

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