アナウンサーからMBAに挑戦、30歳の決断の背景にあったものとは活躍するMBAホルダーたち(2/3 ページ)

» 2011年07月25日 08時00分 公開
[MY MBA.JP]

MBAで学んだこと

――ビジネススクールで勉強したことで、何を得ましたか?

 一番は多分、卒業したという自信みたいなものですね。私自身は勉強をする環境に慣れていなかった、30歳という年齢、そして、大学時代は心理学を専攻していたので、経済とか経営とかがさっぱり分からないという三重苦という状態で、かなり苦労したしハードだったのですが、そういうことをふまえて今振り返ってみると、ビジネススクールに行った、MBAを取ったということが、自分への自信につながりましたね。これが一番大きなことです。

 次は、卒業後すぐに起業せずKPMGピートマーウィックコンサルティングに4年間勤めたのですが、その中で、MBAを持っている方に会うと、価値観というか、学校は違っても、あの苦しい時期を共有できるような感覚を持てるとか、あと、ネットワークということで言えば、私が最初の会社を起業した時に、コロンビアの卒業生の先輩であるとか、コロンビアだけでなくビジネススクールの横のネットワークの中でも、いろいろとお声がけいただいて、心配していただいて、それでお客さまがどんどん増えていったというのがあったんです。だからそれは非常にプラスになりましたよね。

 また、それこそ見ず知らずの、コロンビアを卒業して、同じようなビジネスをやっている米国の方がコンタクトしてくださって、一緒にずっと仕事をするとか、そういう会社対会社のアライアンスというようなこともありました。そういう意味で、非常にネットワークが築けたというのはありますね。

 3つ目に、私はマーケティングとファイナンスを専攻したのですけど、ケーススタディが主な授業をいくつか取ったんですね。1つの会社を作るというプロジェクトがあったり、それこそ通販の会社を日本に作ったらどうかとか、ニューヨーク郊外にリゾート型の施設を作ったらどうかとか。広告戦略の授業もありましたし、起業を経験する授業もあったんですが、その中で、本当に自分のビジネスプランを書いて、実際に起業したときにどのようにマーケティングをするかということもふまえた、そういう基礎の勉強ができ、これは非常に役立ちました。

――MBAは実ビジネスの中で、どのように役立っているかと実感しますか?

 よく、MBAはパスポートに過ぎないとか、門に過ぎないと言われますが、実際問題、先ほど申し上げたようなマーケティングの基礎みたいなものは勉強できても、正直、やっぱり実際の実業と、MBAで勉強したものというのは、リンクはしていますがイコールではありませんから、そのあとはあくまでもそれをベースにどうするか、ということですよね。私自身、最初の会社を起業して13年経ちますが、そういう中でMBAのそういった基礎を大切にしながら、コンサルティングをしていたときの経験もふまえて、ビジネスプランの作り方であるとか、実務の中で自分自身学んでいったことの方が大きいです。

 ただ、やはり考え方のフレームというか、帰納的にものを考えるのではなく、演繹的に、まず、こういうふうにしたいというビジョンがあって、じゃあ、そのためには具体的な戦略としてどういうものが考えられて、で、その戦略を実行するためにどういったアクションプランが必要か、というような、そういった演繹的な考え方のフレームワークというのは、あきらかにフジテレビ時代にはありませんでしたし、それは本当にMBAを起点として身に付いた思考回路だと思います。

 これは今もすごく役立っていて、うちの会社が求める経営理念というものがあって、それを具体的にどういう風な経営指針で、行動方針で動かしていくのか。中長期計画の中でどのような目標があって、それを具体的にどのような戦略に落とし込んで、毎日のアクションプランとしてどのように会社全体に浸透させていくのかということ自体も、やはり、ビジネススクールで学んだところが起点になっているのかなって思いますね。

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