WebOSの操作性のよさは、すでに米国では一昨年に発売されている「Palm Pre」で高く評価されている。しかし、重要なのはその名前のとおり、OSレベルでクラウドコンピューティングを前提としている点だ。
これまでスマートフォンの歴史を動かしてきたのは、手の中に入るためのデザインや大きさなどの「意匠」や「操作性」、それにまつわる「特許」、「開発者コミュニティ」の存在だった(実はその延長にアプリという概念があるのかもしれない)。その比重は少しずつ変化していき、今後、それらはあまり重要ではなくなっていくのではないか? というのが、セッションでのわたしなりの結論だった。
たぶん、意匠や操作性などに取って代わる存在は、コミュニケーションのスタイル自体がソーシャルになった時代の、そのベースとなるクラウドなのだろう。そうなったときの端末は、もはやただの画面と言うべきもので、電話という概念が消失するということかもしれないが。【遠藤諭、アスキー総合研究所】
1956年、新潟県長岡市生まれ。株式会社アスキー・メディアワークス アスキー総合研究所 所長。1985年アスキー入社、1990年『月刊アスキー』編集長、同誌編集人などを経て、2008年より現職。著書に、『ソーシャルネイティブの時代』(アスキー新書および電子書籍版)、『日本人がコンピュータを作った! 』、ITが経済に与える影響について述べた『ジェネラルパーパス・テクノロジー』(野口悠紀雄氏との共著)など。各種の委員、審査員も務めるほか、2008年4月より東京MXテレビ「東京ITニュース」にコメンテーターとして出演中。
コンピュータ業界で長く仕事をしているが、ミリオンセラーとなった『マーフィーの法則』の編集を手がけるなど、カルチャー全般に向けた視野を持つ。アスキー入社前の1982年には、『東京おとなクラブ』を創刊。岡崎京子、吾妻ひでお、中森明夫、石丸元章、米澤嘉博の各氏が参加、執筆している。「おたく」という言葉は、1983年頃に、東京おとなクラブの内部で使われ始めたものである。
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