連載
» 2011年07月21日 08時00分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング:Like No Other――ほかにはないソニーらしさを探して (1/3)

革新的なハードウエアを創出し、それを楽しむコンテンツで拡張させてきたソニー。しかし、Appleなどの攻勢を受けて、そのサイクルは失われつつある。“ソニーらしさ”とは何なのか? 改めて考えてみた。

[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など、印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載中。中小企業診断士。ブログ「cotoba


 久々にソニーの新製品が気になっている。

 美しいヘッドフォン・ウォークマン『NWZ-W262』(海外モデル)はハンズフリーで防水仕様。道を走りながら、ジムで汗をかきながら音楽のシャワーを浴びられる。iTunesからもWindows Media Playerからも音楽を取り込める。容量は2GB(59.99ドル)と4GB(79.99ドル)で、2011年8月から海外で発売。

ah_sonywalkman.jpg 『NWZ-W262』

 そして、2つの“Sony Tablet”。2011年秋発売予定のソニーのタブレットは、家庭でコンテンツを楽しめる大型ディスプレイを搭載した『S1』と、折りたたんで胸ポケットに入れられ、開くと2つのディスプレイがある『S2』。「さすがはソニー」という機能と美しさが詰め込まれている。

ah_sonytablet.jpg 『S1』(左)と『S1』(右)

 でも、どこか“突き抜けたもの”が感じられない。まだ実機を触れないせいもあるが、両製品を発表したソニーITモバイルミーティングで、この商品のプレゼンターを務めた鈴木国正氏(バイオモバイル事業本部長)はこう話した。

 「ソニーらしさを持ったコンシューマー向けのネットワーク端末として、タブレットを模索してきました」

 “模索してきた”という言葉は、「タブレットで後塵を拝した」という吐露にも聞こえる。そういえば『S2』の上下2画面デザイン、どこかで見たような気も。『NWZ-W262』のイヤフォン型オーディオもソニーだけではなく、中小メーカーからいくつも出ている。古くは2000年ごろ、三洋電機からヘッドフォンプレーヤーも出ていたし。

 “ナノイチ(ナノサイズの一眼レフ)”『NEX-C3』はアグレッシブ。本体とレンズのアンバランスな構成にソニーらしさを感じる。だが、ソニーのアニュアルレポートではこの商品を次のように紹介する。

 「コンパクトデジタルカメラからステップアップするお客さまの入門機として、また一眼レフカメラの愛好家が日常的に持ち歩けるサブカメラとして、ご好評いただいています」

 “サブカメラ”、つまりサブ市場……。個人的には、ナノイチにはデジイチが埋めきれない敏捷性もおしゃれもあるので、今はサブに見えてもメインになる潜在性を感じる。そもそも新鮮な商品で見えない市場を創ってきたのがソニーでしょう? がっかりなコメントだ。

ah_NEXC3.jpg 『NEX-C3』

 久しくソニーは「ジャンルを創る会社」ではない。だが決算は2期前からV字回復。2010年度決算にソニーらしさを探してみよう。

       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

注目のテーマ