全国8000教室、個別指導塾フランチャイズ最前線を行く(3/5 ページ)

» 2011年07月20日 08時00分 公開
[今野篤,INSIGHT NOW!]
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対象年齢層を広げる異業種FC

 異業種グループでは、ナガセが映像授業の老舗として「東進衛星予備校」を展開してきたほか、小学校英語導入に合わせ、東進こども英語塾を全国2万2000教室をめざして展開中。また、日能研関東と河合塾進学研究社(河合塾グループ)の共同出資により設立された「学習教室ガウディア」。

 これらのパッケージの対象は、小学生や幼児といった、いわゆる今までの個別指導では対象になり難かった生徒層である。ECCは、自宅にいながらオンラインで授業が受けられるWeb中学生個別指導を開始した。

さらなる拡大に向けて、老舗グループの次の一手は

 老舗グループは、教室展開においては全国を網羅することを前提にしている企業が多い中、明光義塾やスクールIEのように、海外展開を行う企業も出てきた。同時に、新商品やサービスの開発も活発である。

 個別指導のトップランナーである明光義塾は、早稲田アカデミー(早稲田アカデミー、東京都豊島区)と、進学実績を重視する個別指導「早稲田アカデミー個別進学館」のFC展開を予定しているほか、「明光キッズ」ブランドで学童保育併設型の教室展開や、2010年12月には米国のアート教育プログラム「アブラカ ドゥードル」の国内FC権を譲り受けることが決まっている。

 スクールIEは、英会話や幼児教室、英語による学童保育の併設に加えて、自分力を高める商品を開発しサービスの向上を図る。ITTO個別指導学院のジー・エデュケーションは、リーダーシップ開発講座の7つの習慣や英会話のNOVAを組み合わせた「みやび個別指導学院」や、講師も生徒も女性に限定した個別指導塾「すみれ個別指導学院」の展開を昨年から開始している。グリーンシート銘柄の名学館は、名学館EXCELの展開や、ガウディアの導入を始めている。ペガサス、学研CAIの両社は、デジタル教材が脚光を浴びる前からPCを使った自立学習教室を展開してきた。

 このように、大手を中心にこれまで培ったFCのノウハウを元に、新パッケージの開発や構築を精力的に行っていることが垣間見える。さらに、現在の成熟した市場から、新たなステージに向かって飛び出そうとしているとしている兆候ととることもできるだろう。

 低資本で開業できることを武器に増え続ける新興グループ。さまざまなパッケージで参入する異業種グループ。潤沢な資本を持って追いかける集団グループ。そして彼らを迎え撃つ老舗グループ。現在のFC塾市場には、そんな構図が浮き彫りになっている。

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