全国8000教室、個別指導塾フランチャイズ最前線を行く(2/5 ページ)

» 2011年07月20日 08時00分 公開
[今野篤,INSIGHT NOW!]
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小資本開業とデジタル教材で、一気に教室数を伸ばす新興グループ

 新興グループは、雨後の竹の子のようにここ数年で加速度的に増えた。個別指導のセルモやSSS進学教室をはじめ、フィスゼミ(学凛社、東京都国分寺市)、個別指導ヒーローズ(東海出版、浜松市中区)、英才個別指導学院(エイサイ・コミュニケーション、川崎市中区)などが続く。新興の多くが小資本開業、デジタル教材のいずれか、もしくは両方を採択している。

 この背景には前述の通り、個別指導のシェアが年々上昇していること、そこに定年退職や早期退職者層の個人起業家をターゲットに、小資本で開業できるFC本部が増えていることがある。実際に多くの新興FCは、加盟初期コストが低く、大手の半額以下、加盟モデルによっては数分の1になるケースも珍しくない。

 小資本モデルは、教室の大きさも10坪程度、本部による備品や広告宣伝の縛りも弱く、かつデジタル教材を活用することで、人件費を大幅にカットすることにより、運営コストが低く抑えられる。結果、損益分岐点となる生徒数は10人程度まで下がり、低い売り上げでも利益が出やすい仕組みになっている。

 また、教室の規模に応じたマーケットを考えると、既存の個別指導に比べて格段に小さなマーケットになる。これを「マイクロマーケット」と名付けたい。マイクロマーケットは、学区1校分で1つのマーケットを形成するから、町内のあちこちに教室を展開できる計算になる。今後、この細分化されたマイクロマーケットを舞台に、戦いの火蓋が切られることは間違いないだろう。

いよいよ動き出した集団指導塾各社

 集団グループは、豊富な資本を背景に個別指導教室展開を図っている。個太郎塾、城南コベッツ、京進スクール・ワンのように100教室規模の企業が増えてきた。授業研究熱心な集団指導塾らしく、教務システムに力を入れているケースが多い。

 しかし集客面では、老舗グループや勢いのある新興グループの水準には達していない教室も見られる。これは企業として、主力事業である集団指導に資本や人材を集中してきた歴史があると考えられる。

 ただし、ここ数年はこの傾向も薄れ、個別部門に力を入れる集団指導塾が増えてきた。個別指導FC部門の売り上げが前期比で150%超の企業もあるように、実際に多くの集団指導塾の個別指導FC部門の収益は伸びている。また、いち早くデジタル教材を導入するなど、ITの活用も活発である。

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