財政問題や金融規制強化などが嫌気されて軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年07月19日 08時22分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9974.47△38.35

<TOPIX>859.36△2.48

<NYダウ>12385.16▼94.57

<NASDAQ>2765.11▼24.69

<NY為替>79.04▼0.10

財政問題や金融規制強化などが嫌気されて軟調

 先週末の米国市場は週末の買戻しなどもあって堅調となったのですが、週明けの市場は欧州だけではなく米国内でも債務上限の引き上げをめぐる財政問題でオバマ大統領が拒否権を発動すると伝えられたことやG20の金融安定理事会(FSB)が金融規制の強化をすると報じられたことなどから売られ一時大幅安となりました。朝方、全米住宅建設業協会(NAHB)が発表した住宅市場指数は予想を上回るなど足元の景況感は悪くないのですが、逆にQE3(量的緩和)に対する期待が出来ない分、好材料として素直に反応できないということなのでしょう。

 欧州財政問題がサブプライム時の世界的な金融の混乱につながるような感じになってきましたが、目先的な資金回避の動き、信用収縮の動きが見られても極端にリスク許容度が低下したということもなさそうで、米国での債務上限引き上げの問題が終息し、欧州での金融不安も一段落となれば再度戻りを試す動きとなってくるのだと思います。さらに混乱が続くようであれば、QE3に対する期待も高まり、リスク回避の動きも一段落となってくるのでしょう。財政問題からもQE3を否定する動きもあるのでしょうが、リスク許容度を高める施策が期待されるのだと思います。

 個別には金先物価格の上昇が続いていることから、パブリック・ゴールドやニューモント・マイニングなど金鉱株が高く、アップルも堅調となりましたがインテルやIBMなどハイテク銘柄は総じて軟調となりました。ただ、引け後に好調な決算と業績見通しの引き上げがあったIBMは時間外取引では買われています。投資判断の引き下げのあったリンクトインは大幅安、住宅ローン担保証券(MBS)関連の損失補償などからの資本増強が報じられたことや金融規制強化が取り沙汰されてバンク・オブ・アメリカが一時大幅安となるなど軟調、JPモルガン・チェースも軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国株安にもかかわらず為替の落ち着きや週末の買戻しなどから堅調となりました。3連休を控えた手仕舞い売りも嵩んで売りが先行、軟調となる場面もあったのですが、日銀のETF(上場投資信託)買いに期待して(?)売り難いという面もあり、また3連休中のヘッジ売りも特にみられず閑散小動き、盛り上がりに欠けるなかで指数だけが堅調となりました。

 日本市場が休場となっている間の欧米市場では財政問題が取り沙汰されて信用収縮=リスク許容度の低下なども見られ株式市場は軟調となり、連休明けの日本市場も連休前にヘッジ売りが嵩んだということもなかったことから、買戻しも限られ、売り先行となりそうです。今のところ日本では財政問題が取り沙汰されているということでもなく、資金の逃避先として「日本買い」となるのであれば、円高方向に振れつつも日本の株式市場は底堅い堅調な展開となると思われます。ただ、政局の混乱や原子力発電所問題、電力不足などに加え、日本でも財政問題が取り沙汰されることになると、円高を嫌気するだけでなく、「日本売り」につながり、大きな下落となるのでしょう。幕間つなぎ的に値動きの良い小型の内需関連銘柄を物色する動きになるのでしょう。

 連休前には消去法的な「日本買い」ということで日経平均も心理的な節目とみられる10000円水準まで上昇となりましたが、さすがに欧米株安や円高を嫌気する動きもみられると思います。10000円を抜ければ抜けたでいったん達成感から売られることになるのでしょうし、連休前にヘッジ売りも少なかったことから、買い戻しも限定的で逆に見切売りが嵩んで9800円〜900円水準の節目を試すことになるのだと思います。9800円水準で底堅さがみられないと、さらに下値の節目である10500円〜600円水準を試すことになるのでしょう。

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