コラム
» 2011年07月19日 08時00分 UPDATE

宿命のライバルはなぜ物流で手を組んだのか――アサヒ&キリンビール (1/2)

熾烈なシェア争いを繰り広げるアサヒビールとキリンビールとが共同物流部門の取り組みを開始するという。同業での共同物流や共同購買は、資本関係がなければ簡単には進まないという立場を取ってきたので、この組み合わせは意外だった。この変化は環境経営に新たな機会をもたらすことになるだろう。

[中ノ森清訓,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:中ノ森清訓(なかのもり・きよのり)

株式会社戦略調達社長。コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供している。


 アサヒビールとキリンビールとが、環境負荷の低減および業務効率化を目指した共同物流部門の取り組みを開始することを発表した。まずは東京都の一部エリアでの小口配送の共同化と茨城県、埼玉県、長野県、静岡県の4県での空容器の共同回収をテストするという。

 小口配送の共同化は、アサヒビールがビール類、低アルコール飲料、洋酒、ワイン、焼酎、清涼飲料の6カテゴリの製品を、キリンビールがビール類、低アルコール飲料、清涼飲料の3カテゴリの製品を対象に、8月末から東京都内6区で開始する。10月末ごろからは、東京都内の他エリアと神奈川県内の一部についても展開を拡大する予定。両社の都内にある配送拠点を相互活用し、配送距離の短縮、積載率や車両回転率の向上を実現することで、環境負荷の低減を目指す。

 空容器の共同回収は、ビールの空びん、空樽、飲料の空びん、炭酸ガスボンベ、パレットを対象に茨城県、埼玉県、長野県、静岡県の4県の一部地域で実施する。両社共通の得意先ごとに回収を役割分担し、それぞれが製品を配送した後、回収を担当する会社の車両の帰り便に両社の空容器を積み込むことで、積載効率を向上させる。回収を担当しない側の車両の帰り便には、別の運送業務を付けることで、車両回転率を向上させる。

 これらの取り組みにより、両社合計で年間の燃料使用量を約22%削減する。小口配送で約30%、空容器回収面で約20%の改善となる。

 毎日がサバイバルのベンチャー企業の我々からすると、業界1、2位を争う企業同士が競争相手と手を組むというのはなかなか考えられず、同業での共同物流や共同購買は、資本関係がなければ、識者が言うほど簡単には進まないという立場を取ってきた。

 実際には、ビールメーカー間では共同配送や共同購買の取り組みは進んでいる。サッポロビールが北海道で展開している酒類製造メーカー2社との共同配送に、キリンビールが2008年に参加したり、アサヒ、キリン、サッポロ、サントリーのビール4社は、パレット管理会社と共同でパレットの回収促進によるパレットの利用期間の長期化に取り組んでいる。

 また、キリンビールとサントリーとのアルミニウムの使用量が少ない小口径缶への規格統一や、サントリーが日清食品、ハウス食品、永谷園と実施していたダンボール原紙共同調達にキリンビールが参加するなど、共同調達の取り組みも進んでいる。

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