どのように向き合っていけばいいのか? 放射能との生活原口一博×武田邦彦 それでも原発は必要か(最終回)(2/3 ページ)

» 2011年07月19日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

子どもたちには愛情を

武田:震度6以上の地震があれば「日本の原発は危ない」ということを再度認識していただきたいですね。もしもう一度原発事故が起きてしまうと、本当に日本はダメになってしまう。多くの人はどうしていいか分からない状態になると思うので、どうしても未然に防がなければいけない。

 すぐに原発を停止することはできません。現実的には。この原発で事故が起きたらどうすればいいのか、ということを国民に教えなければいけません。万が一、原発で事故が起きてもどうすれば被ばくせずにすむか、対策をとらなければいけない。

 福島第1原発が事故を起こしたとき、政府は近隣の住民にマスクを配って、風向きを教えて、逃げ方を教えるべきでした。しかしそれができなかった。これはとても残念なこと。

原口:その通りですね。

武田:福島県に住んでいるお母さんはとてもかわいそうです。例えば野菜は福島産ばかり。本当は、福島県に住む子どもこそ、放射性物質の入っていない野菜を届けて、食べさせてあげなければいけない。「みんなごめんね。今、ここの放射性物質は高いけど、野菜だけは新鮮なモノを食べてね」と言えるようにしてほしい。

 原発の事故は絶対に許されないこと。しかしこうして現実には起きてしまった。最悪の事態になってしまいましたが、少なくとも子どもたちには愛情を注いでほしいですね。そうした愛情があれば、お母さんやお父さんはなんとか前向きになれるかもしれません。

 しかし現状は、全く逆なんですよ。「我慢してくれ」「我慢してくれ」ばかり。こんなことばかり言っていても、現地の人は救われませんよ。

 福島県の人だけでなく、首都圏の人でも「いつ逃げようか」と考えている人はたくさんいます。いろんな問題が積み重なってきたので、不安でたまらないのでしょう。こうした問題をどのように解決すればいいのか。やはり政治しかないんですよ。

 経済活動も人の心が後ろ向きになってしまえば、うまく回っていきません。政治家には、この国の明るい未来を示してほしいですね。

福島第1原子力発電所3号機(2011年3月16日撮影、出典:東京電力)

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