若者よ、“鶏口”を目指せ!ちきりんの“社会派”で行こう!(2/2 ページ)

» 2011年07月18日 04時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]
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一番手企業でないからこそリスクをとる

 ところで、人口急増で大注目のインド市場において、日本のスズキはトップの自動車会社です。

 あんな混沌とした国に大企業は早くから進出しません。リスクは大きいし、商習慣もわけ分かんない。でも、スズキにとっては、トヨタやホンダが注力する日米欧ではトップにはなれませんし、中国でさえそれらの一流企業が早くから目を付けています。

 「トップになれる市場」を確保するためには、ほかの一流企業がとらないリスクをとるしかありません。そのため早期にインドに進出し、苦境にもめげず頑張り続けてトップになったというわけです。

 このように、企業においても「トップ企業ではないからこそ、リスクをとらざるを得なかった。そして成功した」という場合があります。

 つまり、「一流企業にほかの一流大学生とともに入社」すると、「リスクをとらない企業×歯車としての自分」という掛け算の仕事になるのに対して、「3番手企業に少ない人員の1人として入社」すると、「リスクをとらざるを得ない企業×前に立たざるを得ない自分」という組み合わせになり、この差が20年経った時に出てくるのです。

若者よ、鶏口を目指せ!

 最近オフィス街では、就職活動中と思われる学生とよくすれ違います。相変わらず多くの学生が「憧れの一流企業」を目指しているとのこと。

 でも、大企業に「何百人かのうちの1人」として入社しても、大半の人は一生「牛後」のままです。しかもその「憧れの大企業」自体、大企業であるがゆえにリスクをとる必要がなく、チャレンジングな仕事より「書類を右から左に動かす」仕事が多くなりがちです。

 ちきりんは時々、「就職活動なんて、ぼーっとしていればいいんじゃないか」と思います。出遅れて、行くところがなくて、「何となくここに入りました」という感じでもいいと思うのです。どこに入るかより、入ってから頑張れるかどうかの方が重要でしょう。

 最近は“就職浪人”までする学生もいると聞きます。親も「納得いくまで就職活動をすればいい。」と、進学や留学の費用を出してくれることもあるとか。

 「まじ?」と思います。たかだか学生の頭で考えた「この企業に入らねば、将来はない」などという思い込みのために、20代の1年間を浪費するなんてあまりにバカげています。

 「周囲から『すげ〜』と言われるような人気企業」に内定をもらっても、その企業の中で自分に“鶏口”のチャンスが回ってくる可能性はほとんどありません。むしろ、「何でそんなところにいくの?」と言われる企業に入って、鶏口のチャンスをつかむ方がよほどリターンは高いでしょう。

 キャリアというのは、“牛後”で始めると一生“牛後”になってしまいます。だから若い時こそ、鶏口を狙える場所を選ぶことがとても大事なのです。

 若者よ、鶏口を目指せ!

 そんじゃーね。

著者プロフィール:ちきりん

兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN

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