民主党政権を潰さなければいけない原口一博×武田邦彦 それでも原発は必要か(7)(2/3 ページ)

» 2011年07月15日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

事実をもとに分析する人

武田邦彦教授

原口:文部科学省と経済産業省の人に話をうかがったんですよ。両者を同じテーブルにつかせ、なぜ20ミリシーベルトにしたのか? と聞いたところ「お前のところが悪いんだ」とケンカを始めたんですよ。

武田:ハハハ。国民が困っているとき、そんなことはやめてもらいたいですね。

 僕が福島県で講演したとき、役所の人からこんな質問を受けました。「ある人から土1キロ当たり5000ベクレルの数値が出ている田んぼで稲を植えれば、500ベクレル以下のお米ができると言われて、稲を植えました。しかし本当に大丈夫でしょうか?」と。この質問を受け、僕は「全部捨ててください」と答えました。

 するとその役所の人は「私もそう思っていました」と安堵されているんですよ。会場には農家の人がたくさんいました。自分が育てた野菜やお米を捨てろなんて言われて、いい気分の人なんていません。僕は、農家の人から殴られると思っていました。しかし非難の声すら聞かれず、ものすごく真剣に話を聞いてくれました。

原口:事実をもとに分析する人を大切にしなければいけません。

武田:「民主主義のもとに、この国はやっていけるんだ」という気概を政治家には示してもらいたいですね。

原口:そうですね。

武田:多くの政治家はこう思っているのではないしょうか。「国民に事実を知らせたら、この国はやっていけない」と。

原口:そんな政治家ばかりだと、ファシズムの世界になるでしょう。情報統制を許しているわけですから。

 郵政民営化のとき、ラーニングプログラムというものがありました。そのプログラムは、例えば「改革」という言葉に対し、国民はどのような反応を示すかというもの。「改革」という言葉に、ポジティブに受け入れられる人とそうでない人がいます。そして知能が高くて改革にポジティブな人……「この人たちは面倒だから、何を言っても同じ」と分析していました。

 知能が低くて改革にポジティブでない人……「この人たちは情報に鈍感だから、ダメだ」。大事なのは改革というイメージが好きで、知能の低い人でした。その層に対し、繰り返し繰り返し「郵政民営化は大切だ」と訴えていくんですよ。

武田:なるほど。

原口:このラーニングプログラムを見たとき、ナチスの世界を思い出したね。

武田:本当ですね。

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