原口:文部科学省と経済産業省の人に話をうかがったんですよ。両者を同じテーブルにつかせ、なぜ20ミリシーベルトにしたのか? と聞いたところ「お前のところが悪いんだ」とケンカを始めたんですよ。
武田:ハハハ。国民が困っているとき、そんなことはやめてもらいたいですね。
僕が福島県で講演したとき、役所の人からこんな質問を受けました。「ある人から土1キロ当たり5000ベクレルの数値が出ている田んぼで稲を植えれば、500ベクレル以下のお米ができると言われて、稲を植えました。しかし本当に大丈夫でしょうか?」と。この質問を受け、僕は「全部捨ててください」と答えました。
するとその役所の人は「私もそう思っていました」と安堵されているんですよ。会場には農家の人がたくさんいました。自分が育てた野菜やお米を捨てろなんて言われて、いい気分の人なんていません。僕は、農家の人から殴られると思っていました。しかし非難の声すら聞かれず、ものすごく真剣に話を聞いてくれました。
原口:事実をもとに分析する人を大切にしなければいけません。
武田:「民主主義のもとに、この国はやっていけるんだ」という気概を政治家には示してもらいたいですね。
原口:そうですね。
武田:多くの政治家はこう思っているのではないしょうか。「国民に事実を知らせたら、この国はやっていけない」と。
原口:そんな政治家ばかりだと、ファシズムの世界になるでしょう。情報統制を許しているわけですから。
郵政民営化のとき、ラーニングプログラムというものがありました。そのプログラムは、例えば「改革」という言葉に対し、国民はどのような反応を示すかというもの。「改革」という言葉に、ポジティブに受け入れられる人とそうでない人がいます。そして知能が高くて改革にポジティブな人……「この人たちは面倒だから、何を言っても同じ」と分析していました。
知能が低くて改革にポジティブでない人……「この人たちは情報に鈍感だから、ダメだ」。大事なのは改革というイメージが好きで、知能の低い人でした。その層に対し、繰り返し繰り返し「郵政民営化は大切だ」と訴えていくんですよ。
武田:なるほど。
原口:このラーニングプログラムを見たとき、ナチスの世界を思い出したね。
武田:本当ですね。
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