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» 2011年07月14日 08時00分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング:箸袋のフリーペーパー!? 東北沢で“プラスワン”を作るチームとは (1/3)

箸袋でフリーペーパーを作るという奇想天外な発想を具現化したデザインチーム「東北沢荘」。彼らの発想のポイントは“プラスワン”にあるという。

[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など、印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載中。中小企業診断士。ブログ「cotoba


 21時過ぎ、2人の若者の後ろに付いて下北沢の奥地へ進んだ。とある民家カフェの2階に上がった。暗がりに、薄ボンヤリの灯りがかえって眩しい。私の前に腰を下ろしたのは、1人はやせ方で長髪の男性。円の模様のTシャツを着ている。もう1人はアフロヘアで、どことなくミュージシャンぽい。

 彼らが作ったのは、箸袋のフリーペーパー。それだけに手の込んだ箸袋を開くようなインタビューになった。

ah_DSC09621S.jpg 開くとフリーペーパーになる箸袋

――なぜフリーペーパーを?

タカハシ 「自分らの自己紹介がてらですね。プロダクトのデザインチームなので、フリーペーパーは必須かなと」

フジヨシ 「始まりはTシャツ制作でした。個人で完結していたものを世に出しても面白いかも。なら宣伝もいるよなと」

タカハシ 「いろいろ宣伝方法はあるじゃないですか。チラシとかティッシュペーパーとか。それよりは俺らに合っているもの、ひとひねりあるものがいい。知らない人たちに手軽に取ってもらって、俺らのことをちょっとでも知ってもらえる。それがフリーペーパーだったんです。渋谷のOnly Free Paper(フリーペーパーを集めた店舗)を見た時、あそこには普通の冊子しかなかった。本を売っても面白くないんで」

フジヨシ 「折り紙がいいんじゃないと」

タカハシ 「たまたまナカシマが折り紙のサイトを見て、これだねと。ほかに案出てないよね」

フジヨシ 「出てないね」

 箸袋は“フリーペーパー”であり、デザインチーム「東北沢荘」の活動を知らせる媒体。限定100本の箸袋は、Only Free Paperのほか、数軒のカフェに置かれた。これがA4サイズの紙一枚とは驚きだ。中には東北沢荘の紹介や東北沢への想いなどが、巧みなレイアウトのもと綴られている。1回開くと元に戻せないので、画像も閉じたままでスミマセン。

――これってフリーペーパーのイメージとかなり違いますよね?

タカハシ 「俺らあんまりフリーペーパー、研究してないんすよ(笑)」

フジヨシ 「意識してないね」

タカハシ 「研究していないから、自由にできた。中身が多いのは本にすればいい。でもね、俺らが中学生とか高校生のころ、フリーペーパーってのはアングラの遊びだった。いつの間にか広告が載るようになって変わっちゃった。フリーペーパーなんて持って帰って、興味なかったらポイっと捨てるペラペラ感がいいと思うんだ」

 ジャブを食らわされたような打撃感があった。企業が絡むと、広告やらイベントタイアップやら、どんどん話が大きくなってしまって、“フリー(自由)”でなくなるのだ。

タカハシ 「中身なんて元々“サブカルチャー”。ジコマン(自己満足)でいいんだよ。あの映画面白いとか嫌いだとか、それでいい。タダなんだから、あんまり求めるな(笑)」

フジヨシ 「お箸も付いてるし(笑)」

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