そして、いま米国の主要ネット企業は、写真のさらに先にある、人々の「五感」を奪い合っているのだ。アップル、Google、Amazon、Facebookは、クラウド型音楽サービスで激しく競合している。米国ではFacebookでもビデオの投稿が非常に増えており、ビデオチャットも大きなテーマになっている。この領域でも、Google、アップル、マイクロソフト(Skype)、Facebookが競合することになった。
世界は「五感」に向かっているのだとすれば、いま日本で、電子書籍やスマートフォンなど、それぞれに閉じた議論をしている場合ではないだろう。
ちなみに、これはSNSについての個人的な意見だが、Facebookの「イイネ!」やTwitterの「RT」には、文章組み立てツールのようなところがあると思う。別にちゃんとした文章を生成するわけではないが、人が気持ちを言葉にしてさまざまな形で届けたいというのを、簡便化する働きがあるからだ。そういったものが、これから「五感」のほうに向かっていくことになるのは確実である。
冒頭で、「GDriveをすでに手に入れているのかもしれない」と言ったのは、Google+が、無限に写真をアップロードできるという理由だけではない。この調子で、人々のすべての気持ちがクラウド上でやりとりされるのだとすると、それがすなわちみんなが持っていたいデータのすべてになると思えるからだ。ほしい情報のすべてがそこにあるのなら、それは無限の記憶容量のストレージを持つことと同じではないか。
一部の人たちは、Google+を「Facebookのパクリ」だと言っている。事実、Googleの関係者もFacebookの「友だち」のしくみは具合が悪いので「サークル」という概念を持ち込んだと述べている。もっとも、テストサービスが始まって1週間ほどしてからは、Google+は「Twitterの進化形」という意見も目立っている。
Googleが、Twitterにずっとご執心だったのは事実だ。同社がTwitterを買収しようとしているという話は、何度も出ては消えてきた。2007年には、当時「Tumbler」とともにTwitterのライバルと目されていた北欧系の「Jaiku」を買収(参照記事)。直近では「Google Buzz」をやった。だが、いずれもうまくいかず、結果的にTwitterからデータを買ってきて「リアルタイム検索」を提供することになったのは、ご存知のとおりだ(Google+の開始とほぼ同時に終了、参照記事)。
Googleが、Twitterを欲しがる理由は明確である。いままで彼らがかき集めていたWebやメールなどのデータは、誰かに読まれることを想定して「襟を正して書いた」文章である。それに対して、Twitterのなにげない「つぶやき」には、いままであまりデジタル化されたことのなかった「本音成分」とでもいうべきものが高いからだ。しかもリアルタイムである。
そこまで検索できるようになれば、「世界中のデータを検索できるようにする」というGoogleの社是を、いよいよまっとうできるというわけだ。
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