世界的な景気鈍化懸念もあって軟調な展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年07月13日 08時36分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9925.92▼143.61

<TOPIX>857.19▼12.97

<NYダウ>12446.88▼58.88

<NASDAQ>2781.91▼20.71

<NY為替>79.19▼1.07

欧州金融不安が強まり、世界的な景気鈍化懸念もあって軟調な展開

 欧州金融不安が強まったことや債務上限の引き上げの問題などが嫌気されて売り先行となりました。それでも前日の大幅下落の反動や企業の決算動向は堅調ということで底堅い推移となり、FOMC(公開市場委員会)議事録が発表されると金融緩和に言及する理事が多かったことなどが好感されて堅調となる場面もありました。ただ、欧州金融不安だけではなく世界的な景気鈍化懸念もまだ根強く残り、最後は手仕舞い売りもあって軟調となりました。

 欧州での混乱や為替の動きをみていると世界経済への懸念も強いのですが、株価は比較的冷静に反応しているようです。好調な決算や原油高を好感するというところまではいかないのですが、売り急ぐような動きも少ないようです。商品相場が堅調となっていることを考えると欧州で金融不安が強まっている割にはリスク許容度の低下=信用収縮の動きにはなっておらず、金融緩和期待もあって底堅い展開が続くのではないかと思います。

 個別には好調な決算見通しを発表し、原油先物価格が上昇しているにもかかわらず、シェブロンは軟調、エクソン・モービルも売られました。ただ、金先物価格も堅調なことからパブリック・ゴールドやニューモント・マイニングは高くなりました。欧州での金融不安から銀行株は軟調、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど軒並み軟調となりました。世界的な景気鈍化懸念もあり、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、アルコアなどの景気敏感株やインテル、IBM、アップルといったハイテク銘柄も軟調となるものが目立ちました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安、そしてその要因となったユーロ安=欧州金融不安を嫌気する動きや中国のインフレ懸念からの世界的な景気鈍化懸念から売り先行となり、大幅安となりました。外国人は買い越しと伝えられ、日銀のETF(上場投資信託)買いに対する期待もあり、下げ渋りとなったのですが、戻りも鈍く冴えない展開となりました。為替は円高気味ということで買い難いのですが、日銀の景気判断の引き上げもあり、売りたたき難いという感じでした。

 米国株安や円高を受けて売り先行となりそうです。いったん水準訂正の動きとなった主力銘柄もハイテク銘柄など輸出株を中心に押し目を試すような展開になると思われます。ただ、米国株に底堅さがみられたように、また、商品相場が堅調となっているように、極端な信用収縮の動きとなっているということでもなく、目先的な手仕舞い売りが一巡となった後は底堅さもみられるのではないかと思います。ディフェンシブ銘柄や内需株などに幕間つなぎ的に物色されるものがみられれば指数もそこ堅くなるのでしょう。

 引き続き日経平均の下値の節目とみられる9800円〜900円水準を固めるような動きになるのでしょう。円高などを嫌気する動きは強いのでしょうが、信用収縮から売り急ぐような展開にはならずに下値を試すような感じではないかと思います。底堅さがみられても買戻しを急ぐ動きもなく、いったん売られた後は小幅な値動きとなるのかもしれません。とにかく目先的には9800円〜900円水準が下値となるのかどうかを確認することになるのでしょう。

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