つまり裏を返せば、中国コミュニケーションでは「知っている」ということは、それだけで相手から好意をもたれる武器となるのです。
例えば、私が以前勤めていた会社の日本人社長は初めて会ったとき、こんなことを言ってきました。
「WUさんの干支は猿年だね。猿年の人は頭が良いよね」
すごく驚きました。日本人でそんなことを言ってくる人はいなかったからです。
実は中国人にとって干支というのは大変重要な意味をもっています。日本で言うところの星座や血液型のように、干支によって以下のような性格があらわれていると言われているのです。
鼠:細心、情熱、感情豊富
牛:正直、勤勉、着実
虎:勇敢、きっぱり
兎:静かな、温和
龍:こころざし強く、頭が良い
蛇:賢い、意思強い
馬:決断力ある、独立
羊:温和、善良、忍耐力強い
猿:明るく、頭が良い
鳥:積極的、進取的
犬:忠実、情熱
豚:純真、正直
この他にも「相性」もあって一般的には鼠と馬、牛と羊、虎と猿、兎と鳥、龍と犬、豚と蛇は性格が合わない、なんていわれています。
初対面のあいさつにさらりと干支を話題にできるこの社長に、私は好感をもちました。ほかの中国従業員も同じでした。
日本人なのに、中国のことをよく勉強してくれている。そんな「姿勢」というのは、やはり相手に伝わるものなのです。みなさんも中国人と会話をする際、「干支」をツカミに使ってみてはいかがでしょうか。きっと相手は驚くし、喜ぶと思いますよ。
ただ、ひとつ注意してほしいのは、みなさんが「知っている」と思っているのが、実は誤った知識・認識かもしれないということです。例えば、私は北京の隣にある天津の出身なので、日本の方にそれを言うと必ず言われる言葉があります。
「ああ、天津ですか。天津甘栗とか天津飯で有名なとこですよね」
「……」
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