第51鉄 キハ52と保存車両とホタルトレイン――房総横断ローカル線紀行(後編)杉山淳一の+R Style(4/6 ページ)

» 2011年07月12日 11時34分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

車窓から見えた大多喜城へ

 今日は何度も訪れているデンタルサポート大多喜駅。「デンタルサポート」はネーミングライツである。だからといって省略して大多喜駅と書いてはいけない。ネーミングライツの意味はメディアへの露出もあるだろうから、ちゃんと書いておかないと。ちなみにデンタルサポートは訪問歯科診療や介護関係の会社とのこと。それはともかく、次のイベントは18:48のホタルトレインだから時間がある。そこで大多喜の名所、列車の窓からも見えた大多喜城へ行ってみた。

 大多喜城はデンタルサポート大多喜駅から徒歩15分くらい。途中の道はメキシコ通りという名前が付いている。江戸時代にスペインの船が遭難し、乗組員をこの地でもてなした縁で幕府とスペイン・メキシコとの通商が始まった。そして昭和53年にメキシコ大統領が大多喜を公式訪問したという。その記念としてメキシコ通りと命名されたとのこと。日本とトルコの友情はよく知られているけれど、スペイン・メキシコともそんな美談があったんだな。

デンタルサポート大多喜駅から大多喜城へ散歩してみた
メキシコ通りから見えたいすみ鉄道の鉄橋。キハ52の撮影の名所かも?

 現在、大多喜城は千葉県立中央博物館の分館となっている。実は大多喜城の天守はこの博物館のために再建された建物だ。徳川時代に本多忠勝が建設した大多喜城は、徳川時代半ばに朽ち果てた。幕府から再建の命があったにもかかわらず放置されたという。現在の建物は当時の図面を元にしたとはいえ、1975年に建てられたとのこと。なんだ、せっかく登ってきたというのに昔からの城じゃないんだ……。でも博物館らしく、城壁や石垣などに説明書きがあり、それなりにためになる。城壁から見下ろせば、木立の向こうにいすみ鉄道の鉄橋が見えた。ここは列車の撮影スポットとしても面白いかもしれない。それにしても、今日はずいぶん歩く日だ。これでわらじトンカツのカロリーを消費できたはず。

徳川時代の図面を元に再現された大多喜城

ミステリー仕掛けのホタルウォッチングトレイン

 今日の旅の締めくくりは「ホタルウォッチングトレイン」だ。昨年からいすみ鉄道が始めた企画で、今年(2011年)が2回目。6月10日から20日まで毎日開催していた。参加料金は500円とホタルの最寄り駅までの運賃。その最寄り駅は「環境保護のためナイショ」という。もっとも、窓口で運賃を支払えば料金表で分かってしまうのだが……。でもここでは一応内緒にしておく。ちなみに往路は定期列車で、通常は1両で運行する列車に、さらに1両を増結する。週末など混雑している時は3両編成になるという。帰りは大多喜止まりの終列車になってしまうが、ホタルウォッチングトレインの開催日は大原まで臨時運転する。外房線に乗り継げば、千葉へ23:10着。そこから総武線快速で東京駅方面へ日帰りできる。

ホタルウォッチング許可証はうちわになっていた
平日も休日も大勢の観光客が集まる

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