常夏のグアム、チャモロ料理とチャモロダンサーのアルカイックな微笑みMaila Ta Fan Boka!(1/3 ページ)

» 2011年07月12日 08時00分 公開
[澤田景子,Business Media 誠]

 日本から約3時間半のフライトで行ける外国、グアム。あなたはどんな印象を持っているだろうか? 青い空に白い砂浜、エメラルドグリーンの海でのマリンスポーツやゴルフといったアクティビティにショッピング。だが、それだけではない。

 グアムは、実に充実した食文化を持っている。ご当地料理のチャモロ料理のほかにも、南国ならではのトロピカルフルーツが手軽に美味しく食べられる。また、暖かい気候に適した農業も盛んに行われている。

 グアム政府観光局の招待を受けて、5月25日から29日にかけてグアムを訪問した。これから数回に分けて、グアムの食文化を紹介しよう。ちなみに、連載名の「Maila Ta Fan Boka!(マイラ タ ファン ボカ)」はチャモロの言葉で、「こっちに来て一緒に食べよう!」という意味だ。

グアム

グアム伝統のチャモロ料理

 チャモロ料理とは、グアムの先住民であるチャモロ族によって代々受け継がれている伝統料理だ。スペインや米国、日本の統治時代を経て、多くの国の文化の影響を受けている。料理の名前にはスペイン語に近いものもあり、その歴史の名残りを垣間見ることができる。

 味付けは塩やコショウのほかに、レモン、唐辛子、ココナッツや玉ねぎなどが多く使われ、甘味、辛味、酸味が特徴的だ。代表的な料理には、生の魚やグリルした肉と野菜を細かく刻んでマリネしたケラグエン(Kelaguen)や、赤い色をつけるためにアチョーテ(Achiote)の実を混ぜて炊いたレッドライスなどがある。

グアムグアム (左)ココナッツと唐辛子で味付けたマヒマヒのケラグエン(右)アチョーテの実を混ぜて炊いたレッドライス(写真右下)

 ケラグエンの具は、肉でも魚でも何でもあり。肉ならばチキンやビーフ、スパム、魚ならばマヒマヒと呼ばれる白身の魚が使われる。しかも、レモンで酸味を効かせたり、唐辛子で辛くしたり、ココナッツミルクでまろやかにしたりと、各家庭によって味付けが異なりバリエーションが豊富だ。

 味は、タイ料理のようないわゆる「クセになる味」で、筆者は結構気に入った。そのまま食べても十分おいしいのだが、レッドライスと混ぜて食べたり、あるいはコーンフラワー※と水をこねて薄く焼いたタティーザ(Tatiya)で野菜と一緒に包んで食べたりするのがグアムのスタイルなのだそうだ。

※コーンフラワー:乾燥させたとうもろこしを粉末状にしたもの

 レモンの酸味がきいたチキンのケラグエンは、サラダと混ぜてもいいだろう。そうめんのアレンジレシピとして、トッピングにしてみるのも合いそうだ。一方、ココナッツと唐辛子で味付けた白身魚のケラグエンは、イタリア料理のカルパッチョに近い感覚。例えば、軍艦巻きのネタの1つとして出てきてもおかしくない。

 レッドライスの第一印象は、見た目も赤く辛そうな感じ。しかし、実際の味は薄い味付けのケチャップライスのようにほんのり甘い。レッドライスに使うアチョーテはハーブの一種で、葉は塗り薬やお茶として、種は染料として生活の中で利用されている。摂取すると解熱や消化促進の作用があるので、暑いグアムの気候に適している。チャモロ族の先代の知恵によって生まれた料理の1つである。

 スイーツには、コーンフラワーとココナッツミルクのカスタードを固めた、ピンク色のカラマイ(Kalamai)がオススメ。ココナッツミルクのほんのりとした甘さが特徴で、食感はモチモチしており、名古屋のういろうの遠い親戚のようだ。

 このほかに、ブチブチ(Buchibuchi)と呼ばれるカボチャのパイを揚げたものや、貝の形をかたどったビスケット、日本のかりんとうのように砂糖をまぶした揚げ菓子のグズリア(Guguria)などがある。油で揚げるお菓子が多いのは、気温と湿度が高いグアムでは食べ物が傷んだり湿気たりしやすいので、それを防ぐための知恵なのだ。

グアムグアム (左)カラマイ。コーンフラワーとココナッツミルクのカスタードを固めたものでピンクに色付けしてある(右)レモンの酸味と唐辛子がきいたチキンのケラグエン。三角にカットされたタティーザが上に乗せてある
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