目先的な過熱感もあって手仕舞い売りも嵩み軟調な展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年07月11日 16時20分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 先週末の米国市場は雇用統計が予想を下回ったことを嫌気して一時大幅安となるなど軟調となり、中国の消費者物価指数も大きく上昇していると報じられたことから、週明けの日本市場も売り先行となりました。ただ、週末のヘッジ売りの買い戻しや主力銘柄の水準訂正の動きはまだ続き、外国人も買い越しと伝えられたことから、底堅い展開となりました。底堅さを確認して戻りかける場面もあったのですが、米中の景気鈍化懸念も根強く、戻りきらずに見切り売りも嵩んで下げ幅を拡大、軟調となりました。

 アルゴリズム取引と言われるようなシステム売買が盛んに行われていますが、最近の売買はどうしても目先的な、短期的安売買が中心になっているようです。バフェットなどに代表されるような長期投資というのももちろん健在ではあるのでしょうが、どうしても目先的な値動きに左右される投資家(投機家?)が多いような気がします。だからというわけではないのですが、最近(ということでもないですが)値上がり率上位銘柄や下落率上位の銘柄を見ていても明確に理由のない中で大きく上がったり下がったりしているものも多いような感じです。

 そうした動きが全て「アルゴリズム取引」と言うわけではないのでしょうが、情報の一元化や情報への反応の仕方が一元化していることも目先の値動きに右往左往する相場となってしまう要因ではないかと思います。投資判断の引き上げ、などがみられると、その投資判断の引き上げが正しいとか正しくないとかいうことではなく、投資判断が引き上げられたから買う人が多くなるから買うということで大きく株価が上昇したりするということなのです。

 決算発表にしても、公募増資の発表にしても、その決算が良いのか悪いのかが問題ということではなく、公募増資がどういう内容で、その企業の業績にどのような影響があるのかどうかが問題ではなく、公募増資を行うことが、決算を発表することが株価を動かす材料になり、また、何の材料でも最初にまとまった売りが出るのか買いが入るのかでその材料が好材料なのか悪材料なのか決まってしまうようなところもあります。ただ、そうした目先の動きは最終的には修正されることが多いのですから基本的な原点に戻り、割安の時に買い、割高の時に売るということで良いのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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