大事なものはコストで決めないちきりんの“社会派”で行こう!(1/3 ページ)

» 2011年07月11日 08時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]

「ちきりんの“社会派”で行こう!」とは?

はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。

※本記事は、「Chikirinの日記」において、2007年8月25日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。


 居住用不動産について「購入か? 賃貸か?」という比較や論争をよく見ますが、その大半が「お金の比較」であることに、ちきりんはいつも違和感を覚えます。

 「自分の住む家って大事じゃないの?」と思うからです。

 そもそも人間は、大事なものは経済的比較で選んだりしないんですよね。「経済的な比較で決めるものは、大事じゃないモノ」だけなんです。

 例えば、結婚相手を選ぶ時に「こいつと結婚したら、一生で費用がいくらかかるか」とか「この人なら5億は稼いでくれるわ」とか考えないですよね。誰かと友達になる時も同じです。職業を選ぶ時だって「医者になれば一生で●億円もうかるから医学部に行く」と真剣に言う高校生はいないでしょう。

 付き合う相手や友達、職業など、人生において一定以上重要なことについて、人は「経済的理由を考慮はするけれど、決め手にはしない」のが普通です。だから、自分が住む家についても、それが自分にとって大事なことであるなら、経済的な要因以外に重要な基準があってしかるべきです。

 ところが、不動産の「購入か? 賃貸か?」の議論に関しては、その大半が「買った方が得かどうか」であって、「非経済面の比較」を見かけるのはとてもまれです。そこで今回はその「非経済面の比較」について書いてみます。

不動産保有のメリット

(1)内部使用方法の自由さ

 賃貸にはリフォームの自由度がありません。中古マンションを買えば丸ごとリフォームできるし、新築一戸建てならゼロから設計できます。

(2)ローン終了後はキャッシュフローに縛られない

 ローンが終われば、「いつ失業してもホームレスにはならない」という安心感が得られるし、「嫌な仕事に我慢せず、給与は安くても好きな仕事を選択する」ことも容易になります。

 過大なローンを抱えては意味がないですが、10年以内に返済が終わる程度の中古で小さな部屋を手に入れるのは自由な生活へのワンステップとなるでしょう。

(3)高くてもお気に入りの家具を使おうと思える

 ちきりんは、ソファを買った時に玄関から入らないので、ベランダの下から釣り上げてもらいました。賃貸だったら玄関から入る大きさのソファしか買わなかったと思います。賃貸だとどうしても「仮住まい」的な発想になるから、思い切った投資ができません。

(4)コミュニティに投資しようと思える。

 ずっと住む場所と思えば、コミュニティへの参画や近所付き合いもする気になれると思います。

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