避難所の閉鎖、仮設住宅暮らし――震災から3カ月、相馬市と旭市の今東日本大震災ルポ・被災地を歩く(2/5 ページ)

» 2011年07月09日 08時00分 公開
[渋井哲也,Business Media 誠]

仮設住宅暮らしは不自由……

仮設住宅に移り住んだ大和田茜ちゃん(6月11日)

 『3.11 絆のメッセージ』でも取り上げた大和田茜ちゃん(3年生)は、仮設住宅に移っていた。「掲載本を手渡したい」と電話で母親の育子さんに連絡を取ると、はまなす館まで来てくれた。

 茜ちゃんとの出会いは3月26日だった。はまなす館に取材で訪れると、1人で学習スペースにいたのを声をかけた。「春休みはディズニーランドに行く予定だった」と、残念そうに話をしていたのを覚えている。そのほか、好きな勉強についても教えてくれた。しかし、そのときは地震の話はまったくしてくれなかった。その後、磯部小の卒業式・終業式があった時には、茜ちゃんは自分から震災経験を話してくれた。

 育子さんに話を聞いた。仮設住宅の様子については「(茜ちゃんは)寝坊するぐらい、よく眠れています。ただ、仮設住宅の近くには川が流れているんですが、また大きな地震がくると言われているので、『また津波がこないか?』と心配です。地震があるたびに怖いですね。原発があるし。この前も地震があったときに、子どもたちは『停電!』って騒ぎました。この前の台風のとき、仮設住宅はビシャビシャで大変だった。2年間というけど、家を建てられないしアパート暮らしなのかな、と思っています」

 まだまだ、地震の記憶は消えない。仮設住宅の生活も、快適とは言えないようだ。これまで一戸建てで生活していたために、スペースも、強度も違っている。隣の家とつながっている、いわば「長屋」暮らしだけに気の遣い方も違う。

 津波被害のあった家へ、家族で行ってみたこともある。飼い猫は行方不明だ。津波に飲まれてしまったようで見つかっていない。

 「家のあったところに連れて行ったこともあります。一番下の子(茜ちゃんの妹)は、家に行くと『早く帰ろう』と言ったりします。(地震のときは)猫を飼っていたんです。でも、まさか家まで津波がくるとは思わなかった。猫は死んじゃったと思う。一番下の子は『ミルくん(猫の名前)は天国に行っちゃったのかな?』『ミルくんに触りたいな』と言ったりします」

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