SQは高いが週末の手仕舞い売りに押されて上値も限定的清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年07月08日 15時59分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株は堅調となり、景気鈍化懸念も薄れたこともあり、日本市場も買い先行となりました。オプションSQ(特別清算指数)算出もあいまって大幅高となりましたが、週末ということや昨日までの上昇、節目とみられる日経平均10200円水準まで上昇となったことから上値も重く、上値の重さがみられると見切り売りや手仕舞い売りも嵩んで上げ幅縮小となりました。売り急ぐ材料があるわけでもないので、下値を売り叩くようなこともなかったのですが、物色対象も絞り切れず盛り上がりに欠ける相場展開のなかでじりじりと値を消すものも多くみられました。

 オプションのSQ値などを細かく気にする向きもいますがSQ値を抜けたとか抜けないという以前の問題で昨日までの上昇、そして節目とみられる水準ということで上値が重くなったものと思います。大震災時の安値水準も10200円水準ですが、そこまで届かなかったから売られたなどと見る向きもいるようです。ただ、指数の動きをみるところでは10円、20円というような、場合によっては100円、200円というような水準にこだわる必要は全くないと思います。10200円〜300円水準という水準がこれまでも、節目となっていたわけであり、その節目の水準を覚えておけばある程度方向感もわかってくるのだと思います。

 相場全体の流れや指数の動きが細かい数字で見て変わるわけでもなく、あくまでも「大きな流れ」として見る必要があると思います。ローソク足で寄り付きの値段と引けの値段が同じものを「寄り引け動事(同時)線」と言いますが、これも、細かく1円2円をみることもなく、同様に「ダブルトップ」や「ダブルボトム」などというような時でも、全く同じである必要はないと思います。前の「高値」を抜けることが相場の転機になるのですが、これもあくまでも「高値水準」ということで、厳密にみて行く必要はない、特に指数の場合は細かく見過ぎても大きな流れを見誤る可能性もあると思います。ローソク足の分析ではいろいろな形で底だとか、高値だとか見るわけですが、これも全く同じ形でも底値になったり、ならなかったりすることもあり、単純に数字だけで見てもだめと言うことも多いのです。

 もちろん節目や前の高値、安値、などの「水準」はしっかりと覚えておく必要はあると思いますが、あまり枝葉末節にこだわり過ぎて本来の「相場の流れを見る」ということを間違いないようにするべきだと思います。ただ、個別銘柄や先物などでは、目先的には「昨日の高値を抜けたら」などというような取引の仕方も多く、その売り買いで価格そのものが動くこともあり、大きな流れを見るということと違う観点の時は細かい数字を把握しておく必要もあると思います。ただ、その場合でも25日移動平均線だとか200日移動平均線だという時にはあまり細かい数字を見る必要はないと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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