底堅いが昨日の大幅高の反動で冴えない展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年07月07日 16時48分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が堅調となりユーロは安くなったのですが特に売り急ぐ材料もないなかで昨日の反動から売り先行となりました。外国人が引き続き買い越し基調ということや朝方発表された機械受注も予想通りということもあり、底堅い展開となりました。昨日の午後のようなわけもわからないような急騰をみてしまうと10000円を割り込んではいけないかのような錯覚にとらわれ、最後まで売りきれず、底堅さもみられました。ただ、逆に10000円冴え超えていれば良いのではないかと思惑もあり、昨日同様に先物に仕掛け的な買いが入っても本日は上値も限られ、逆に手仕舞い売りに押される展開となりました。

 中国の利上げも特に材料視されませんでしたが、中国の株式市場が利上げにも関わらず小動きだったから日本市場も売り急ぐことがなかったなどとコメントしている向きもいましたが相変らず、頓珍漢なコメントといえるでしょう。何度もこのコラムで述べているように中国の株式市場自体が中国経済の動向を示しているわけでなく、ましてや中国の株式指数の動きを見ても中国の経済の状況を正確に知ることは不可能だと思います。

 というのも、中国の経済指標や金利、そして市中の資金の流れなどもほとんど政府のコントロール下に置かれているものであり、経済情勢を見ながら株式投資(投機?)をしているというよりも「株式市場」というところで、マネーゲームをしている感覚なのではないかと思います。日本市場でも似たりよったりというところもあり、特に新興市場の指数などはいつも述べているように投資家、特に個人投資家の心理状態を示していると思っています。幕間つなぎとしてでも買い方の回転が効いている時は現在のようにきれいな右肩上がりの動きとなっており、逆に手詰まり感がでるとじりじりと下落するという状況です。

 株価の動向や株式指数の動きも一元的にみるのではなく、このように多元的にみていくと相場の方向や性格がみえて来るのではないかと思います。値動きの良い銘柄に飛び乗っても良い相場なのか、そうでないのか、主力銘柄の水準訂正はまだ続くのかどうかなど、大きな流れをみるうえでも一つしかない相場をいくつかの指数を利用して見極めるという必要もあるのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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