目先的な過熱感や懸念材料も多く上値も重いが堅調な展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年07月07日 08時51分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>10082.48△110.02

<TOPIX>873.51△8.33

<NYダウ>12626.02△56.15

<NASDAQ>2834.02△8.25

<NY為替>80.91▼0.16

目先的な過熱感や懸念材料も多く上値も重いが堅調な展開

 前日のポルトガル国債格下げからの金融不安や中国の利上げでの景気拡大鈍化懸念、そして注目されたISM(サプライマネジメント協会)非製造業景況感指数も予想を下回ると言うように懸念材料も多かったのですが、QE2(量的緩和)終了を受けて極端に減少していたリスク許容度を再度膨らませるような展開の中で買われ、堅調となりました。ISM景況感指数の中で雇用に関する指標が改善していたことを好感し、週末の雇用統計などに期待して買戻しを急ぐ動きもあったのかもしれません。

 先月中旬までのQE2終了を懸念した信用収縮の流れが逆転しているということで堅調な地合いとなっているのだと思います。欧州金融不安、中国を初めとする世界的な景気鈍化懸念、そして日本の政局の混乱や原子力発電所問題など、ギリシャ問題に進展はみられたものの、何一つ先月中旬までの状況と大きくは変わっておらず、QE2終了を懸念しすぎで一気に収縮したリスク許容度が一気に回復していることで堅調な相場が続き、世界的な資金の余剰感が見られるうちは強含みの基調が続くものと思います。

 個別には6月の月次売上が好調だったと言うことでウォルグリーン(ドラッグストア)が買われ、スマートフォン(高機能携帯電話)の米国でのシェアが高まったと報じられたアップルが堅調、つられてということでもないのでしょうし、足元の景況感に対しては見方も分かれるのですが、インテルやデュポン、キャタピラーが高く、アルコアなどが軟調と景気敏感銘柄でも高安まちまちとなりました。傘下企業の社員による盗聴疑惑が問題となったニューズ・コーポレーションは大幅安となり、欧州金融不安も根強いことからJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカも軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国市場も冴えない動きとなったこともあり、方向感に乏しい展開でした。午後に入り、引けを意識する時間帯からはオプションSQ(特別清算指数)算出に絡む先物買いが入り指数を一気に押し上げる動きとなり大幅高となりました。10000円という心理的な節目を抜けたのですが、まだ5月始めの高値=10000円を抜けた時と同じようなことでまだもみ合いの「誤差の範囲となっている可能性はありそうです。

 米国市場は堅調となりましたが、日本市場は昨日の大幅高の反動もあり、上値の重い展開となりそうです。特に買い上がる、買い急ぐ材料もないことに加え、中国に利上げやユーロ安を受けて手仕舞い売りが優勢となるのではないかと思います。ただ、一方でリスク許容度の上昇も見られ、オプションSQ(特別清算指数)算出を控えての思惑などで指数が振らされる場面もあるかもしれません。海外市場で金先物価格が高く、関連銘柄が幕間つなぎ的に買われ、原子力発電関連銘柄などは政策の迷走を嫌気する動きになるのでしょう。

 日経平均は10000円という心理的な節目を抜けてきました。上値の節目とみられる水準まで一気に上昇となる可能性もありますが、まだまだ下値の節目となる9800円〜900円水準を割り込まないということを確認するように底堅さを試す動きになるものと思います。オプションSQに絡む思惑で10000円の攻防となる可能性もありますが、あくまでも目先の指数の動きであり、相場全体の流れはまだ積極的に上値を追うような流れではないような気がします。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.