コラム
» 2011年07月07日 08時00分 UPDATE

相場英雄の時事日想:メディアが生き残る、キーワードは“主観” (1/3)

大手メディアには「編集委員」「解説委員」といった肩書きを持つ記者が存在する。取材現場の第一線を退いたベテランが多いが、このシニア記者を積極的に活用してみてはいかがだろうか。

[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『株価操縦』(ダイヤモンド社)、『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 新聞社やテレビ局には「編集委員」「解説委員」「論説委員」などと仰々しい肩書きを持つ記者が多数存在する。共通しているのは、取材現場の第一線を退いたベテランだと言う点だ。各社の紙面や番組に定期的に露出しているのは、このうちのほんの一握りにすぎない。マスコミ業界内でのお叱りを承知のうえで、筆者はこうしたベテラン、あるいはシニア記者を積極的に有効活用することが、今後のメディアの生命線になると考える。読み解くキーワードは、“主観”だ。

アラ還記者のルポ

 仕事柄、筆者は20年以上日本経済新聞を購読し続けている。ただ、紙面をじっくり読むことは少ない。「発表に先んじて書く」が同紙のポリシーであり、事前に渡されたリリースをなぞったものが大半で、読み応えのある記事が極端に少ないからだ。

 「経済ジャーナリスト」の肩書きで活動する以上、一般紙にはない専門情報をチェックする必要があるため、割高な購読料を払い続けているわけだ。そんな同紙だが、ここ数年、筆者が注目している企画がある。還暦が近い(あるいは超えた)“アラ還”のベテラン、シニア記者が日本各地の都市で1カ月間生活し、その地元住民と同じ目線で地方の現状をルポしているのだ。

 同紙夕刊で連載され『ルポ 日本の縮図に住んでみる』(日本経済新聞社)として書籍としてもまとめられている。例えば、交通の便が極端に悪い離島や、過疎化が深刻な山間部の集落、あるいは地方都市のシャッター街といった具合だ。

 筆者も経験があるが、地方出張に赴くと、インタビューや移動などスケジュールが気になり、じっくり腰を据えて取材できないケースが多々ある。

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