今夏の節電、企業の7割が「実施」も1割は「実施せず」――帝国データバンク

» 2011年07月06日 15時03分 公開
[Business Media 誠]

 今夏の電力供給不足が見込まれる中、政府は東北電力・東京電力管内で2010年の使用最大電力から使用電力量の上限を15%削減、経団連は加盟企業・団体に25%削減、関西電力では15%削減、2府5県からなる関西広域連合では10%削減を要請している。

 帝国データバンクの調査によると、今夏の節電を「実施する(予定・検討を含む)」とした企業は72.7%と、「実施しない(予定・検討を含む)」の11.3%を大きく上回った。節電実施による電力使用削減量を見ると、政府目標の「15%以上」が36.3%と、「15%未満」の23.0%をやや上回った。

今夏の節電の状況(出典:帝国データバンク)

お金のかからない対策が多数派

 電力使用削減量が「15%以上」とした企業の削減方法では、「節電意識の向上」(79.4%)や「設備の使用を制限する」(67.2%)といったお金のかからない対策が突出。以下、「(LED・空調など)省エネ製品への切り替え」が30.7%、「生産設備の稼働曜日をシフトする」が9.4%、「事務所や店舗の1日の営業時間を減らす」が7.2%、「サマータイムの実施」が6.8%で続いた。

 具体的には「事務所の使用面積の縮小」(金融、東京都)、「デマンドコントロール装置を導入して、最大需要電力を把握すると同時に、15%削減を確実に実行する」(自動車部品製造、埼玉県)、「太陽光発電装置の導入、屋根に断熱塗料を塗布」(陶磁器・ガラス器卸売、東京都)といった声があった。

電力使用量の削減手段(出典:帝国データバンク)

 一方、電力使用削減量が「15%未満」とした企業の要因で、最も多かったのは「事務所や店舗のため、限界がある」で55.2%。以下、「生産設備のため、限界がある」が36.1%、「(LED・空調などの)省エネ製品に切り替える余裕がない」が29.8%、「顧客の要望に対応するため」が19.6%で続いた。

 「10年以上、ISO14000の取り組みとして節電を実施してきており、一気に15%以上の削減は難しい」(男子服卸売、広島県)などすでに節電を行っている企業も多い上、「食品関係なので、工場の空調温度を上げるのは安全上できない」(調味料製造、東京都)のように事業の性質から電力使用量削減が困難な企業も少なくないようだ。

 アンケートによる調査で、対象は全国の1万1032社。調査期間は6月20日から30日。

電力使用削減量が15%未満のとどまる要因(出典:帝国データバンク)

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