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» 2011年07月06日 08時00分 UPDATE

それゆけ! カナモリさん:将を射んと欲すればまず女子高生を射よ――シーブリーズの噴水戦略 (1/2)

「シーブリーズ」の日焼け止めが売れているという。主要購入客は女子高生だ。業界の常識を覆したというその製品戦略の狙いは何なのだろうか。

[金森努,GLOBIS.JP]
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それゆけ! カナモリさんとは?

グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2011年7月1日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。


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 6月27日付日経MJに「色鮮やかな容器 女子高生つかむ シーブリーズUVカット&ジュエリー」という記事が掲載された。記事にはイエロー、グリーン、オレンジ、マゼンタの鮮やかなカラーの容器の写真が添えられ「容器は全4色で香りもプラスした」とある。フローズンシトラス、グリーンアップル、ソープ(せっけん)、クラッシュベリーの香りだ。

 記事には「女子高生に楽しんでもらいたい」という商品のメーカー・資生堂担当者のコメントがある。「日焼け止め商品の容器といえば、通常は白色が多い。紫外線から肌を守り、美白を維持するという商品イメージを連想してもらいやすいからだ」(同記事)という。業界の常識に反して鮮やかなカラー展開にしたのは女子高生ターゲットであるためだ。

 「紫外線対策の意識が浸透するにつれ、日焼け止めクリームを利用する年齢層も広がっている。女子高生の使用率は制汗剤(80%)に次いで60%と2番目に高い」(同記事)とある。

 シーブリーズといえば、まず「女子高生向け制汗剤」というイメージが出てこないだろうか。

 1969年に日本で正式発売され、1982年に外資系医薬品会社のブリストルマイヤーズスクイブがブランドを獲得、翌年にテレビCMが放映され若者の人気に火が付いた。シャンプーから始まり、デオドラント製品(パウダー入りローション)を展開したのは1996年のこと。

 しかし、徐々に売り上げは低迷し、2000年に資生堂に事業譲渡。資生堂はシーブリーズの従来のターゲットとポジショニングである「夏」「サーファー御用達」から、大胆に「女子高生」「恋の気分」にシフトし、商品名を「シーブリーズ デオ&ウォーター」として8種類の容器を採用。微妙なオトメゴコロに対応できるよう8種の香りのバリエーションに拡大し、今日では女子高生の定番ブランドとなっている。

 女子高生の間での浸透率はすさまじい。記事には「女子高生の2人に1人が使っている」と担当者がコメントしている。

 圧倒的なターゲット浸透率を持つ「シーブリーズ デオ&ウォーター」から、「UVカット&ジュエリー」を派生させたのは記事にあるような「使用年齢の広がり」という商機ばかりではない。競合からの脅威への対応という意味も考えられるのだ。

 ニベア花王のデオドラント製品の大定番ブランド「8×4」だ。1974年にドイツの化粧品会社の製品を技術提携し、ニベア花王が日本市場に展開。今日に至るまで、パウダースプレーやロールオンタイプを基本としてさまざまな製品バリエーションを市場に送り込み、常にマイナーチェンジを繰り返している。そして、3月には「デオウォーター」という製品を発売した。パッケージは「シーブリーズ デオ&ウォーター」とそっくりである。女子高生の主要購買チャネルであるドラッグストアの店頭支配力を生かして棚を取り、価格も100円ほど安くするという攻勢を各地でかけている。

 迫り来る競合、コンビニブランドの業界リーダーによる「同質化戦略」の回避に「UVカット&ジュエリー」はどのように貢献できるのか。

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