さて、この話から抽出できる問題点は何か。
この工房はWebサイトを運営し被災の様子を自ら発信していたからこそ、義援金を受け取ることができた。例えば津波で建物ごと流されていたなら情報発信さえままならなかったはずで、そういった甚大な被害を受けた被災者をどう拾い上げるかが問題だ。日本国内ならまだしも、海外で入手できる情報は限られ、どうしてもメディアへの露出が大きい大都市へ義援金が集中する。
また、寄付する側は義援金が「どのように使われたか」「何が作られたか」「何を購入したか」という後日情報を欲している。復旧に必死な被災者に対してそれを期待するのは酷だと思うが、これが現実であり、その思いを無視するわけにもいかない。
ここで活躍が期待されるのは被災地の実情を把握しながら活動している市民団体。しかしこれも海外からのニーズには対応しきれていない。
まず外国語、少なくとも英語に対応している市民団体が少ない。Webサイトの英語表記、英語で対応可能なスタッフの用意、海外からの送金方法といった情報は最低限必要だが、組織が小さくなればなるほど難しいだろう。
また前述のケースで求められるような「義援金を送りたい側と受け取る側の橋渡し」を純粋に行う市民団体は少ないように思う。それでは市民団体の活動の自由度が縛られるし、活動経費を差し引くことも難しそうだ。
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