月末・期末の買戻しも入り大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年07月01日 08時43分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9816.09△18.83

<TOPIX>849.22△5.11

<NYダウ>12414.34△152.92

<NASDAQ>2773.52△33.03

<NY為替>80.56▼0.20

金融不安も景気鈍化懸念も薄らぎ、月末・期末の買戻しも入り大幅高

 QE2(量的緩和)終了を織り込むかのように大幅高となりました。月末・期末要因も大きかったと思われますが、シカゴ購買部協会が発表した6月の景気指数(PMI)が予想に反して改善したことから、世界的な景気鈍化懸念が薄れたことも買戻しを急がせたものと思います。ただ、売買高もいまひとつ盛り上がらず、今後の景気動向など経済指標の発表に一喜一憂する展開となるのでしょう。企業業績の堅調さなどがみられるまでは底入れ感はみられても戻りも限られそうです。

 原油先物価格は上昇となりましたが、金先物価格が軟調となるなど商品相場が冴えない動きとなり、QE2終了への懸念を示したものと思われます。極端な信用収縮の動きはないのでしょうし、懸念されたほどの金融引き締めの方向には向かっていないのだと思います。今後は景気動向とともに、そうした資金の流れ、世界的な資金の流れを見ながらということになるのだと思います。大きく崩れることはないと思われますが、金融引き締め機運が出てくるのかどうかは大いに注目しておいてもいいのでしょう。

 個別には太陽光発電事業に米エネルギー省が債務保証すると発表したことで事業の拡大につながるとしてファースト・ソーラーが買われ、大株主の投資ファンドが「選択と集中」を促すと伝わり、収益力向上が期待されてヒューレット・パッカード(HP)が堅調となりました。投資判断の引き上げが複数みられたことでイーベイが大幅高、材料が出たということでもないのですが、月末・期末の買戻しが入ってキャタピラーやインテル、モンサントなど景気敏感銘柄に大きく上昇するものがみられました。前日の大きく上昇したバンク・オブ・アメリカは軟調となりましたが、JPモルガン・チェースは堅調となるなど金融株は総じて堅調でした。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や6月末という日を意識して買い先行となりました。ただ、お化粧買い期待と同時に月末の手仕舞い売りもあり、一時軟調となる場面もありました。その後も上値を試すのですが節目とみられる9800円水準を超えているということもあって手仕舞い売りも嵩み上値の重い展開となりました。外国人も買い越しとは伝えられたものの、決定的な材料にも乏しく上値が限られたものと思います。

 米国株が大幅高となりましたが、昨日の日本市場の上昇である程度織り込んでいることや期末要因ということもあり、日本市場は堅調ながらも上値の重い展開となってくるのではないかと思います。中国の経済指標の発表などに振らされる場面もあるのでしょうし、週末の手仕舞い売り、そして週末に米国市場で注目される経済指標の発表もあることから最後まで買いきれずに上値も限られそうです。ただ、相場全体の底入れ感が強まり、世界的な景気鈍化懸念や信用収縮懸念が薄れていることもあり、主力銘柄でも出遅れ感が強い銘柄、また、幕間つなぎ的にテーマ性があって値動きの良い銘柄などが物色されることになるのでしょう。

 日経平均は引き続き9800円〜900円水準での上値を試す動きとなりそうです。一気に10000円まで上昇するにはエネルギー不足、材料不足と言う感じで上値も重いと思われます。昨日の「月末」ということで買戻しを急ぐ動きがあり、先に上値を試すような動きとなったものが多く、指数の上値は重くなってくるのではないかと思います。目先的な過熱感を冷ますように上値の重さを確認して、目先的には引き続き9500円〜600円水準を下値に9800円〜900円水準が上値というもみ合いが続くのだと思います。

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